政策コンテスト:「政治主導」不発 予算組み替え難航

2010年11月14日 8時50分

 政府は13日、11年度予算の特別枠の配分を決めるための「政策コンテスト」で、各省からの3日間にわたる公開ヒアリングを終えた。評価会議(議長・玄葉光一郎国家戦略担当相)が12月初旬までにA~Dの4段階で各事業の評価を決める。民主党政権は「政治主導で予算の大幅な組み替えを実現する」と訴えてきたが、3日間の議論は低調に終わり、政治主導の演出は不発に終わった。

 「経済産業省を中心にいろいろな省エネ制度があり、環境省は(他省を)サポートした方がいい」。13日のヒアリングでは、環境省の家庭向け省エネ促進事業を巡り、平野達男副内閣相が省庁縦割りの政策に疑問を呈した。この日は法務省や内閣府、財務省に対する聞き取りも行われた。

 政策コンテストは、成長戦略などに重点的に予算を充てる特別枠向けに各省が要望した事業に、優先順位を付けるのが目的だ。「密室の中で行われてきた予算編成のプロセスを国民に知ってもらう」(玄葉担当相)として、事業仕分けと同様にヒアリングの様子をインターネットで公開。政治家同士の真剣な議論を見せることで、政治主導を演出する狙いもあった。

 しかし、各省の持ち時間はわずか30~45分。特別枠向けに要望のあった189事業のうち、実際に議論されたのは各省2~3事業で、全体の3分の1以下にとどまった。各省の政務三役が事業概要を説明し、玄葉氏ら評価側の政務三役が質疑を行う形式だが、限られた時間で議論を深めるには限界があった。

 また、3日間のヒアリングでは、「予算の大幅組み替え」の難しさも改めて浮き彫りになった。各省は既存の予算を1割削減し、その削減分で「特別枠」にふさわしい事業を要望することで予算を組み替えることが求められていた。

 だが、人件費や事務費が予算の大半を占める省からは、既存予算を削減したことにして、同じ事業を特別枠向けに振り替える要望が続出。防衛省の「在日米軍駐留経費負担」(思いやり予算)はその典型で、高度な政治問題のため議論すらされず、ほぼそのまま予算が認められる見通しとなった。

 特別枠への要望は総額2.9兆円なのに対し、現在確保できている財源は1.3兆円しかない。従来型事業の継続を求める「振り替え要望」が多く認められれば、予算の大幅な組み替えは難しくなり、「特別枠」が形骸(けいがい)化する可能性がある。【谷川貴史、坂井隆之、高橋昌紀】

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