菅直人首相は4日の年頭記者会見で、民主党の小沢一郎元代表が収支報告書虚偽記入事件で強制起訴された際には議員辞職して「裁判に専念すべきだ」と求めた。政治とカネ問題に強い姿勢で臨み政権浮揚につなげるのが狙いだが、小沢氏側の反発による抗争激化は必至だ。野党に、社会保障制度改革と消費税率引き上げを含めた税制抜本改革に関する超党派協議の開始を呼び掛け、6月に一定の結論を取りまとめる方針も示した。
首相は小沢氏の政治資金問題に関し「今年を政治とカネの問題にけじめをつける年にしたい」と強調。月内に見込まれる強制起訴の際には「政治家としての出処進退を明らかにして、裁判に専念されるのであれば、そうされるべきだ。本人が自らそうした(辞職の)ことも考え、出処進退を決めることが望ましい」と促した。衆院政治倫理審査会への招致問題でも「自らの問題について、国会でしっかり説明してもらいたい」と述べた。
消費税を含む税制改革では「6月ごろをめどに、一つの方向性を出したい」と表明。「社会保障の在り方と必要な財源を議論しないといけないのは明らかだ」と与野党協議の必要性を訴えた。
通常国会前に断行する意向の内閣改造をめぐっては「2011年度予算をできるだけ迅速に成立させる目標に向かって、最も強力な態勢をつくりたい」と述べ、参院で問責決議を受け野党が辞任を求める仙谷由人官房長官らの交代に含みを持たせた。
早期の衆院解散の可能性については「私の念頭には解散の『か』の字もない」と強く否定。11年度予算案審議に向けては「より多くの政党に賛成していただきたい」と修正の可能性に言及した。
首相はこの後、三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝。今春の統一地方選に関して記者団に「(11年度)予算で5千億円を超える一括交付金を実現した。民主党の政策をしっかり伝えることで大きな支持をいただきたい」と述べ、地方重視の姿勢を訴える意向を示した。
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