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社説

菅首相会見 意気込みと現実の落差 1月5日(水)

 菅直人首相の年頭の記者会見は、民主党の小沢一郎元代表に対する批判が前面に出る内容となった。

 一方、自由貿易の促進や税制改革など肝心の政策課題については、意欲は伝わってきたものの実現への道筋は見えないままだ。

 「脱小沢」路線を強調して政権浮揚につなげる思惑があるとすれば、いかにも苦しい。内紛がまた表面化すれば、かえって世論が離れる恐れがある。通常国会開催に向け緊迫した局面が続く。

 菅首相が時期を示して掲げた大きな政策目標は二つある。一つは今年を「平成の開国元年」と位置付け、貿易自由化を促す決意を表明したことである。

 米国などが進める環太平洋連携協定(TPP)に参加するかどうかは、6月ごろをめどに最終的に判断する。それまでに「若者が参加できる農業の再生」に向けて、農業の構造改革や支援策などをまとめるという。

 もう一つは、社会保障と消費税を含む税制改革である。超党派の議論を開始し、こちらも6月をめどに方向性を示すとした。

 いずれも菅首相が昨年から掲げてきたものだが、論議の足場も築けないままだ。例えば、税制改革をめぐる首相の年頭発言に、野党は一斉に反発している。首相の意欲と現実との落差は大きく、説得力に乏しい。

 何より通常国会を乗り切る必要がある。首相は予算案成立に向けて「最も強力な態勢をつくりたい」と述べ、内閣改造にあらためて意欲をみせた。だが、仙谷由人官房長官の交代などを含めて具体案には触れていない。

 人事を伏せるのは理解できるものの、全体的に昨年末の段階と同じ内容に終始した印象が強い。

 ただし、小沢氏については明確な意思表示があった。収支報告書の虚偽記入事件で強制起訴された場合には、「政治家としての出処進退を明らかにして、裁判に専念されるのであればそうされるべきだ」と踏み込んだことである。

 野党の協力を得るめどが立たないなか、「脱小沢」を強調することで世論を味方に付けたい−。そんな狙いがあるのだろうか。

 小沢氏は「僕のことなどどうでもいい」などと反発している。「親小沢派」の議員とのあつれきを深める懸念は捨てきれない。

 それを承知で「小沢批判」頼みで苦境を脱しようというのであれば、菅政権はイチかバチかの路線を強めたとみることができる。いよいよ正念場である。

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