2011年1月5日17時54分
菅直人首相が呼びかけている社会保障と税制の一体改革に関する与野党協議をめぐり、細川律夫厚生労働相は5日の閣議後会見で「新しい年金というマニフェストにこだわれば、協議そのものが難しい。マニフェストを前提とせずに話し合いを始めたらいい」と述べた。民主党がマニフェストで掲げる新年金制度の撤回を示唆したものだ。
新年金制度は、国民年金や厚生年金、共済年金の現行制度を一元化したうえで、全額税方式の最低保障年金を設けることなどが柱。菅氏が代表だった2003年衆院選のマニフェストから掲げている民主党の主要政策の一つだ。
菅内閣は6月までに、年金制度も含めた社会保障と税制の具体的な改革案をまとめる方針で、これを与野党協議の材料と位置づけている。ただ、自民、公明両党は民主党の新年金制度案に強く反対しており、現状では与野党が協議できる状況にはない。
このため、細川厚労相は「政府で案をまとめて協議に入るのではなく、どういう形で協議に入るのかを含め、まず話し合いを」とも言及。政府・与党が具体案を示す前に、与野党で協議を始めるべきだという考えも示した。協議入りには民主党側の譲歩が不可欠で、マニフェストの撤回は避けられない見通しだ。