2011年は、「開国元年」なんだそうだ。
菅直人首相の年頭の記者会見によれば、近代化の道を歩み始めた「明治の開国」、国際社会への復帰を始めた「戦後の開国」に続く、「3番目の開国」を今年は目指すことになるらしい。
開国元年──。スケールの大きなフレーズだ。
だが、その後のスピーチが何とも小さかった。
「国会の質問はせめて24時間前に出してほしい」などと、「開国元年」と口火を切った割にはずいぶんと小さなことをおっしゃる。妙にがっかりした気分になった。記者団の質問もいまひとつだった。
いや、正月早々に「小さい」とは失礼。申し訳ない。小さかろうと、きっと大切なことなのかもしれないし、冒頭の言葉がやけに大きかっただけに、単にそう感じただけかもしれないわけで。
とは言いつつも、何というか、「開国元年」という言葉に魂が感じられない。正直に言って残念な記者会見だった。いや、これ以上はコメントをしても不毛なのでやめておこう。
ようやくこの国にも晴れ間が見え始めた
いずれにしても、日本にやっと光が差し始めたように思う。
何せ1年前には、「二番底」というやたらと閉塞感をもたらす言葉が、世間を駆け巡っていたのだから。「踊り場」であろうと何だろうと、土砂降りの雨は止み、晴れ間が見え始めている。
報道によれば、国際通貨基金(IMF)は、今年の世界経済成長率を4.2%と見込み、世界経済は緩やかながらも回復を続けるとしている。米国では国内総生産(GDP)の7割を占める消費が息を吹き返し、中国など新興国の経済成長も依然として堅調で、「二番底」の心配はほぼなくなったらしい。
日本国内でも主要企業30社の経営トップの7割に当たる21人が、今年の実質経済成長率を「1.0%以上〜1.5%未満」と回答し、緩やかながら2年連続のプラス成長が続くと見ている(読売新聞調べ)。
経済の詳しいことはよく分からない。でも、弱いながらも光が差し込み始めていることは、歓迎すべきだと思う。まだ雲の隙間からかもしれないし、いまだに雨が降っている産業もあるだろう。
日本経済は外需次第だからとか、今の政権じゃ期待できないとか、否定的な意見も少なくないようではあるけれど、もうすべてのうまくいかないことを「不景気」のせいにするのは終わりにする時がやってきたようである。
一人ひとりが自ら光を見いだすフェーズに
要するに、後は私たち次第だ。
2011年がいい年になるかどうかも、私たち次第。明治の開国、戦後復興……。いずれの時代でも、そこにいる一人ひとりが光を見いだしていたように、私たち一人ひとりがそろそろ光を見いだす努力をしてもいいのではないか。
今の日本には希望がないとか、希望喪失の時代と言われて久しいけれど、もう少しだけ元気に、もうちょっとだけ前向きに生きるためにも、私たち自身が自ら光を見つけ出すべきフェーズに入ったように思う。
何とも単純で申し訳ないのだけれど、箱根駅伝を見て感動する一方で、菅首相の光の見えない記者会見を見たら、余計にそう感じてしまったのだ。
20秒という僅差(これが僅差なのかどうなのか、駅伝に疎い私には正直分からないのですが……)で、追いかけられる早稲田大学と、追いかける東洋大学のラストランナーの、最後まであきらめないで全力を振り絞って走る姿は、すごく格好よかった。
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