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年金制度:政府、公約棚上げの動き 野党と隔たり大きく

 政府内で、民主党が09年衆院選マニフェスト(政権公約)に盛り込んだ新年金制度案を棚上げする動きが強まっている。自民、公明など野党各党の主張と隔たりが大きすぎ、協議の糸口がつかめないためだ。菅直人首相は6月をめどに社会保障と税制の一体改革の方向性を示す意向だが、野党側の理解を得るためには年金改革で折り合いを付けることが絶対条件になる。公約にこだわらない姿勢を示すことで、野党側を協議に引き込みたい考えだ。

 細川律夫厚生労働相は5日の会見で「(年金制度は)民主党のマニフェストにこだわると協議そのものが難しいのではないか。マニフェストを前提とせずに話し合いを始めたらいい」と述べ、社会保障改革のうち年金制度については野党側との協議入りを優先させるべきだとの考えを示した。

 社会保障と税制の一体改革に関し、野党側は政府案の提示を要求している。仙谷由人官房長官は同日の会見で「(与野党で)右と左に割れる状況ではない。政府案を作ることにやぶさかではない」と述べ、社会保障政策で与野党間の差は小さいとの認識を示した。

 だが、社会保障制度の中で年金制度は両者の違いが際立っている。民主党案は(1)職業で三つに分かれている現行制度を一元化(2)消費税を財源とする「最低保障年金」を創設--が柱。一方、自民、公明両党は現行制度の修正を基本としている。

 協議入りのために政府・民主党側は譲歩を求められるが、年金制度は目玉公約だけに「撤回」はハードルが高すぎる。そこで、厚労省が4月中にまとめる社会保障改革案では、民主党案に必要な財源規模を示す一方、詳細な制度設計には立ち入らず、野党側との協議の余地を残す方針だ。【鈴木直】

毎日新聞 2011年1月6日 東京朝刊

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