社説

2011年01月06日

政権立て直し課題解決せよ

 国民の期待を受けた政権交代から約1年4カ月になる。だが民主党政権も迷走を続け、課題を解決できない政治が続く。政治が国民の信頼を取り戻せるのか。「再生」が問われる年だ。

 何よりも求められるのは、菅直人首相の指導力だ。統一地方選を4月に控え、通常国会で野党は対決姿勢を強めるだろう。その中で政権を立て直し、目標実現に向け、戦略を構築する必要がある。

 今年最も重要な選挙は統一地方選になる。各党は地域基盤の強化・拡大を目指して国政選挙並みの態勢で臨む。地方選での相次ぐ敗北で民主党内には菅首相への批判が強まっている。

■「何をやりたいのか」■

 「何をやりたいのか分からない」。昨年の首相はこう指摘された。それを意識したのだろう。首相は年頭の記者会見で、今年を「平成の開国元年」と位置付け、貿易自由化の促進や農業再生に取り組む意欲を表明。社会保障制度と消費税率引き上げを含めた税制抜本改革に向け、超党派の協議を野党に呼び掛けた。

 意欲は分かる。だが戦略が見えない。税制協議に野党が応じる見通しはない。衆参ねじれ国会で2011年度予算案と関連法案を成立させる戦略さえ全く描けていないのが現状ではないか。

 小沢一郎民主党元代表の国会招致問題と内閣改造という二つの課題が残っている。

 小沢氏は昨年末、衆院政治倫理審査会に出席する意向を表明した。しかし審査会の開催時期をめぐって首相と小沢氏側の対立が続き、結論が出ていない。

■「3月危機」現実に?■

 一方、首相は通常国会前に内閣を改造する意向だ。しかし「内閣の要」である仙谷氏の交代は政権運営に影響を及ぼす。

 通常国会は予算関連法案の参院採決がヤマ場となる。否決されて政権が立ち往生する事態となれば、首相の進退につながる「3月危機」が現実になりかねない。

 政策課題も難題続きだ。景気・雇用は依然として厳しい状況が続く。「開国」政策の目玉である環太平洋連携協定(TPP)は6月に参加の是非を判断する方針だというが、仮に「参加」なら、農業と地方崩壊をどう防ぐつもりか。半端な農業強化策など許されない。米軍普天間飛行場問題も見通しは立たない。政権公約の見直しも課題となる。

 一方、自民党の谷垣禎一総裁は年頭会見で「全力を挙げて与党を追い込み、衆院解散を勝ち取っていく」と述べた。解散・総選挙に追い込めば、政権奪還の可能性が高いとみているのだろう。だが自民党も十分に信頼を取り戻したと言える状況ではない。

 首相は早期解散を否定している。国民生活に直結する予算案を人質に取るような国会対応は理解を得られない。対案を示して熟議を尽くす。建設的な対応を示せるか。野党の姿勢も問われる。


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