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社説:地域主権改革 もう足踏みは許されぬ
民主党の重要政策の一つでありながら、地域主権改革は足踏みが続いてきた。ただ、その柱ともいえる「ひも付き補助金廃止と一括交付金化」と「出先機関改革」は昨年末、かろうじて形を整えた。これを機に停滞していた改革が力強く前進し始めることを望みたい。
一括交付金化は、都道府県向けの5120億円でスタートする。菅直人首相は4日、これを民主党の地方重視の姿勢として統一地方選挙でアピールする考えを示した。しかし使途の自由度などはこれから示される配分の方法や基準で明らかにされる見通し。まだ地方重視とまでいえるような状況ではない。
国の出先機関改革は先送りの印象が強い。昨年末公表のアクションプランでは2012年の関係法案提出と14年度以降の地方ブロックへの移管というスケジュールが示された。具体像が見えず、地域主権戦略大綱より後退したとの指摘もある。
肝心の「国と地方の協議の場」設置などを盛り込んだ地域主権関連3法案は、昨年の通常国会と秋の臨時国会でいずれも継続審議となった。国と地方が対等な立場で、中長期の課題を議論することを抜きに、地域主権改革の実現はおぼつかない。改革を進めるため、一日も早い協議の場設置が必要だ。
ただ今月開会予定の通常国会は、予算関連法案や臨時国会で積み残した法案を多く抱えている。政府は地方自治法の抜本改正も目指しており、地域主権関連3法案の成立は容易なことではない。しかし、これ以上の足踏みは許されない。菅首相自らが覚悟を示し、指導力を発揮すべき局面だろう。
4月の統一地方選挙では、県内4市村で首長選と議員選の計6選挙、さらに県議選が行われる。平成の大合併により数は減ったが、それぞれの地域の未来を考える大事な選挙だ。
全国では13知事選や44道府県議選などが行われる。秋田魁新報社加盟の日本世論調査会による全国世論調査では、統一地方選に関して「大いに関心がある」「ある程度関心がある」は計73%だった。また民主党が掲げる地域主権改革には「進んでいない」「どちらかといえば進んでいない」が計81%と不満が目立った。菅政権は重く受け止める必要があろう。
少子高齢化などで社会構造が大きく変化する中、中央集権的な手法の行き詰まりが目立つ。地域主権には、地方自治体の潜在能力を引き出して諸課題の解決に結びつけたいという期待が込められている。
地域住民をはじめ、首長、議員、自治体職員がそれぞれ、これまでのような国頼みではなく、自らの判断で地域の針路を決める覚悟を持つよう意識改革することが求められる。統一地方選は国の地域主権改革を促し、住民本位で地域の未来を築いていくアイデア豊かなリーダーを選ぶチャンスでもある。
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