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民主党:首相「ねじれ」対策強化、国対委員長交代へ/国会召集、人事巡り綱引き

 菅直人首相は6日、通常国会前の内閣改造と民主党の役員人事へ向け、本格調整に入った。昨秋の臨時国会では参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」に苦しみ、10年度補正予算の審議で野党との連携に失敗した反省から、国会対策を強化する党人事を検討。鉢呂吉雄国対委員長は交代させる方針で、同日午後、党最高顧問の渡部恒三元衆院副議長と首相官邸で会い、通常国会の対応を話し合った。

 渡部氏は前原誠司外相が代表だった野党時代の06年、衆院副議長経験者としては異例の国対委員長に就任した経緯があり、首相は渡部氏の起用案も含め国対委員長人事の検討を進めている。

 渡部氏は首相との会談後、記者団に「竹下(登元首相)内閣の消費税(導入)のときもおれは(自民党の)国対委員長で、国会は野党の意見を聞くところだというのが竹下哲学であり、おれの哲学。内閣がそういう気持ちで審議していれば、ねじれだなんて心配はなくなる」と語り、野党との協調に自信をみせた。

 首相は同日午前、仙谷由人官房長官、岡田克也幹事長、輿石東参院議員会長らと首相官邸で会談し、「党大会を経て、党・内閣の態勢強化を図っていきたい」と13日の党大会後に内閣改造を行う方針を表明した。仙谷氏については続投させるか、党の要職で処遇するか、ギリギリまで情勢を見極める構えだ。

 岡田氏は6日の記者会見で「来週ぐらいに考え方を整理したいが、衆参ねじれということは今後とも起こりうる。問責決議で辞めなきゃいけないとなると、政府は機能しない」と述べ、仙谷氏続投の場合も国会審議を拒否しないよう野党に働きかける考えを示した。仙谷氏も「野党の主張は無理筋だ」と強調した。【小山由宇】

 ◇国会召集、人事巡り綱引き

 国会法で1月中の開会が定められている通常国会の召集日が、いまだ確定しない。政府・民主党が参院で問責決議を受けた仙谷氏の処遇が焦点となる内閣改造・党役員人事の内容や規模を固められずにいるためだ。仙谷氏交代を含む大規模改造の場合は28日召集が有力だが、仙谷氏続投を前提に24日など早期の召集を求める声もあり、菅首相は最終決断をしかねている。

 「両院議員総会と党大会を反転攻勢のスタートにしたい」。菅首相は6日夜、首相官邸で記者団にこう強調した。だが、主戦場となる国会の日程は依然定まらない。

 通常国会の日程は、内閣改造が13日の党大会後に行われる方向となったことで、28日召集案が浮上している。野党の要求をのんで仙谷氏を交代させると改造の規模が大きくなり、後任を含め人事に一定の時間が必要となる可能性があるためだ。

 一方、仙谷氏を続投させ、内閣改造を法相の補充など小規模にとどめれば、24日などの早期召集も可能だ。

 しかし、首相は仙谷氏の処遇に明確な結論を出せずにいる。交代に踏み切り、野党が審議入りに応じても、肝心の11年度予算案や関連法案の成立に協力する確証はない。6日の首相を交えた民主党幹部の会合では、鉢呂氏が仙谷氏続投を前提に国会の早期召集を主張したものの、開会日は決められなかった。

 仙谷氏を続投させ強行突破した場合の勝算もない。6日、鉢呂氏は自民党の逢沢一郎国対委員長、公明党の漆原良夫国対委員長と個別に会談したが、漆原氏は「問責決議を受けた閣僚は閣内での横滑りもダメだ」とクギをさし、強硬姿勢を崩さなかった。

 「仙谷問題」に加え、月内にも強制起訴される民主党の小沢一郎元代表の問題も不確定要素だ。執行部は小沢氏への離党勧告に向け、「脱小沢」路線に反対する勢力を追い出すための常任幹事入れ替えも検討しており、内閣改造・党役員人事の時期と絡む可能性がある。小沢氏支持グループの一新会は11日に会合を開く予定で、12日の両院議員総会、13日の党大会に焦点を合わせてけん制する構えを見せている。【横田愛】

毎日新聞 2011年1月7日 東京朝刊

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