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政治を動かす2011:キーマンに聞く/3 自民党幹事長・石原伸晃氏(53)

 ◇小沢氏招致は茶番 予算案強行採決なら国会大荒れ

 菅政権の失速で好機が転がり込んできた自民党。昨年9月、幹事長に抜てきされ、衆院選も見据えた「選挙の顔」として政権批判の先頭に立つ。民意は再び自民党に向かうのか。

 「昨年末、西東京市で街頭演説してびっくりした。(衆院中選挙区時代の)菅直人首相の地盤なのに、『菅政権を倒さなきゃいけない。それが国益だ』と言ったら拍手が湧いた。ある初老の男性が近付いてきて『民主党はめちゃめちゃだ』とだけ私に言って帰っていった」

 民主党は菅首相と小沢一郎元代表の対立が続く。野党は、小沢氏の衆院政治倫理審査会(政倫審)出席では不十分だとして証人喚問を要求している。

 「岡田克也民主党幹事長と電話で話した感触では、小沢氏の問題にけりをつけようという意識は非常に強い。ただ、民主党は幹事長が言っても、そうならないのが通り相場だ。小沢氏も政倫審に出たいなら、ご自身が発議して条件なしで出てくればいい。茶番劇だ。この問題をいつまでも引っ張ることに国民はもう辟易(へきえき)している」

 自民党には野党転落直後の09年秋の臨時国会で、審議拒否と審議復帰を繰り返して迷走した苦い経験がある。「責任野党」か「闘う野党」か、路線はしばしばぶれるが、今回は参院で問責決議された仙谷由人官房長官らが続投すれば通常国会で衆院も含めて関連審議に応じない強い姿勢だ。執行部の覚悟が試される。

 「通常国会の召集日を伝えるのは官房長官の仕事。仙谷氏が衆院議院運営委員会に来れば、はい分かりました、とは言えない。毅然(きぜん)と立ち向かっていく。たぶん内閣を改造するだろう。小沢氏と仙谷氏らの問題がなくなれば政策の話ができる。ただ、11年度予算案や予算関連法案を強行、強行で衆院を通過させるような国会運営をしてきたら、全面対決する。国会は大荒れになる」

 自民党は07年秋、当時の福田康夫首相が民主党代表の小沢氏と大連立を協議した。菅首相がたちあがれ日本に連立参加を打診したのは、自民党との橋渡し役を期待する狙いもあった。自民党の一部には小沢氏抜きの大連立を認める意見もある。

 「大連立があるのは国難のときだ。消費税と社会保障制度改革で民主党が案を出せば話は違うが、何もない。(民主党が主張する)最低保障年金をもらえるのは新制度ができて40年後なのに、そうではない、と言っている。今の民主党の政策は社民主義。くみすることはできない」

 谷垣禎一総裁は年頭記者会見で年内に衆院解散・総選挙に追い込む決意を示した。

 「菅首相には、何をやりたいか、がない。私たちは保守だ。日米関係を基軸とした外交、憲法改正、夫婦別姓と外国人地方参政権反対。努力する人が報われる社会をつくる。結党の原点に戻ってアピールしたい。解散・総選挙になるかどうかは、神のみぞ知る、だが、こちらの(解散に追い込む)スタンスは変わらない」【聞き手・中田卓二】=つづく

毎日新聞 2011年1月7日 東京朝刊

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