菅直人首相が消費税を含む税制抜本改革と環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を今年の政権課題に据える決意を明らかにした。いずれも「6月をめどに方向性」と踏み込んだ。有言実行内閣の看板が偽りだと言われないよう、不退転の決意で成果を上げてほしい。
首相は4日の年頭の記者会見で、消費税改革について「いま議論しなければならないのは誰の目にも明らかだ。しっかりした社会保障を確立するため財源問題を含めた超党派の議論を開始する」と語った。
TPPへの対応も「参加する場合に必要となる農業対策を検討している。最終的な判断は6月ごろが一つのめどだ」と言明した。
社会保障と税制の抜本改革、貿易自由化と国内農業の立て直しは、日本が活力を維持するうえで避けて通れない国家的な課題だ。首相が期限を切ってこうした懸案に取り組む姿勢を見せたことは評価できる。
ただ首相は昨年6月の就任直後に消費税改革、秋の臨時国会の冒頭にTPP参加に意欲を示したものの、党内外の反発を受けて結論を先送りした。今回も政治合意に向けて指導力をどこまで発揮できるのかという疑念がぬぐえない。
民主党は小沢一郎元代表の国会招致問題に絡んで対立が先鋭化し、衆参両院で多数派が異なる「ねじれ国会」の壁に直面している。それでも菅政権が難局を打開するには、優先的な政策課題への対応を明示し、有権者の支持を背景に協力を取り付ける正攻法以外に妙案はない。
通常国会の1月中の召集日がいまだに確定しないのは政府・与党の怠慢である。内閣改造・党人事をめぐる主導権争いで民主党内がさらに混乱するようなら「政策より政局優先」との批判は免れない。
野党も現政権との対決姿勢をいたずらに強めるだけでは、有権者の失望を招くことになろう。
自民党の谷垣禎一総裁は年明けに「1日も早く解散・総選挙に追い込む決意で戦い抜く」と抱負を語った。しかし民主党が政権運営でこれだけ未熟さをさらけ出しても、自民党の政権復帰への期待感が思うようには高まらない原因を党幹部はよく分析する必要がある。
民主党と自民党は経済活性化や財政再建などで方向性が一致する部分も多い。与党が具体案を先に提示するのが筋だとしても、議論の入り口で条件闘争を繰り広げるだけでは政治は前に進まない。対立軸があいまいなままでは「与党の敵失待ち」という状況からは抜け出せない。
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