24日午後11時40分ごろ、福岡県太宰府市向佐野4丁目の県道交差点で、9人が乗ったワゴン車と乗用車が衝突し、県道沿いの池にワゴン車が転落した。生後6カ月の男児を含むワゴン車の6人と、乗用車を運転していた同市青葉台4丁目、アルバイト秦(しん)智之さん(26)が引き揚げられ、死亡が確認された。ワゴン車の男性2人は水死、女性3人と秦さんも水死の可能性が高いと県警はみている。
筑紫野署によると、ワゴン車には同県八女市などの17〜18歳の男女8人と男児1人が乗っていた。事故の約2時間半後、ワゴン車は池から引き揚げられたが、男児の父親を含む男性2人と女性3人が死亡。男児は心肺停止状態からいったん蘇生したが、事故から約19時間半後に死亡した。チャイルドシートは見つかっていない。
乗用車は現場近くのガソリンスタンドに止められていた。秦さんは自ら池に飛び込んだという目撃情報があるという。池に転落した9人を助けようとした可能性があるとみて調べている。
男児の母親(18)と男性2人は打撲などの軽傷を負ったが、命に別条はないという。
男児を除くワゴン車の8人は、中学校時代の同級生6人と、うち1人と同じ高校に通う2人とみられる。久留米市内で焼き肉を食べ、福岡市内にイルミネーションを見に行く予定だったらしい。
ワゴン車は定員7人のミニバン型で、脱出した木村光志(みつゆき)さん(18)の父親(46)の名義。光志さんは事故後、父親と電話で話した際、「途中まで自分が運転したが、事故時は友達と運転を代わっていた」と話していたという。
ワゴン車は右側が大破、乗用車は左前が破損していたという。車の損傷部位から、同署はワゴン車と乗用車が県道を福岡市方面に並んで走り、何らかの事情で衝突した弾みでワゴン車が池に転落した可能性があるとみて、詳しい事故原因を調べている。池に沿って設置された高さ約1メートルの金属製の柵の一部がなぎ倒されるなど、約10メートルにわたって破損していた。
ワゴン車が転落した現場は、JR鹿児島線・水城駅の南約800メートルの県道沿いにある篠振池。交差点に面しており、スポーツ公園やテニスコートなどがある施設の一角。近くには商店やマンション、住宅なども立ち並び、ワゴン車が池に転落する音を聞いた人が通報したという。
気象庁によると、太宰府市の事故当時の気温は約3度。同署によると、池の水温は5度だったという。
◆事故に遭った方々
【亡くなった方々】
●乗用車
福岡県太宰府市青葉台4丁目、アルバイト、秦(しん)智之さん(26)
●ワゴン車
同県八女市黒木町木屋、八女農業高校3年、井手綾美さん(17)▽同県久留米市荒木町藤田、同、石原瞳さん(18)▽同県筑後市山ノ井、同、末吉泰子さん(18)▽八女市黒木町大淵、農業手伝い、佐藤慎一郎さん(18)▽同市黒木町湯辺田、アルバイト、山本翔さん(18)、息子の悠斗ちゃん(6カ月)
【助かった方々】
●ワゴン車
八女市黒木町本分、パート、木村光志さん(18)▽同市黒木町大淵、西日本短大付属高校3年生、堀川達也さん(18)▽同市黒木町湯辺田、山本佑紀さん(18)=悠斗ちゃんの母親