東京女子医大病院で01年、心臓手術を受けた女児(当時12歳)が死亡した事故で業務上過失致死罪に問われ、無罪が確定した同病院元助手、佐藤一樹医師(47)が「大学側の誤った調査報告で名誉を傷つけられ、不当に解雇された」として、大学と元院長に慰謝料5500万円や未払い賃金の支払いを求めた訴訟は6日、東京高裁(園尾隆司裁判長)で和解が成立した。
大学側が調査報告の誤りを認めて謝罪し、解決金200万円を支払う和解内容。
佐藤医師は手術で人工心肺装置の操作を担当。手術中に装置が正常に作動しなくなり、女児は脳障害で3日後に死亡した。大学の調査報告は原因を「佐藤医師の初歩的な過失」としたが、刑事裁判の2審・東京高裁(09年3月)は「執刀医が装置の管を挿入した位置が悪かったことが原因」と指摘し、佐藤医師の操作と死亡の因果関係を否定していた。
民事で東京地裁は昨年8月、調査報告の誤りは認めたものの、賠償請求権の時効(3年)成立を理由に請求を棄却していた。和解について佐藤医師は「誤りを認め、謝罪の文言が和解内容に入ったことを評価する」とコメント。女子医大は「大学病院として一層努力していく」との談話を出した。【和田武士】
毎日新聞 2011年1月6日 19時39分