【コラム】ノーベル人事賞があれば李大統領こそ適任(下)

 李大統領はソウル市長に就任するまで、人事をまともにやったことがなかった。それなら人事をうまくやることよりも、失敗しないことを心掛けなければならない。人事は失敗しなければ成功したことになるからだ。人事で最もよく失敗するケースは、自分と親しい人間、負担のない人間ばかりを選ぶことだ。ところが李大統領は自分が知っている人物、親しい人物、対しやすい人物ばかりを選んで使う。その理由が気になり、大統領をよく知る人物に話を聞いてみると、「実は大統領は非常にシャイな性格だ」ということだった。知らない人とすぐに親しくなることができず、以前から知る人とばかり交流したがる傾向があるという。つまり、李大統領が自分の思い通りに人事を行えば、今後も同じ失敗が繰り返されるということだ。

 最後に、李大統領は「人事が間違っている」「人事のやり方を知らない」といった自分への評価や非難を認めない。「自分はちゃんとやっているのに、他人がそれを理解できない」と考えている可能性が高いのだ。そうでなければ同じ失敗を繰り返すはずがない。

 李大統領がこのように考えていると推測できる根拠は、現在40%から50%に達する政権運営への支持率にある。大統領府はこの政権運営への支持率を非常に重視しているという。しかし与党ハンナラ党の首都圏選出議員たちは「このままでは来年の総選挙で全滅だ」と危機感をあらわにする。

 電話による世論調査で「今、大統領の政権運営を支持するか」と尋ねて、国民の本音をどれだけ正確に知ることができるかはわからない。しかし李大統領の業績、例えば世界で最も早く金融危機を克服したことや、世界で最も順調に経済回復を成し遂げたことは確かに評価に値するだろう。ハンナラ党議員たちが恐れるのはそのような実績ではなく、大統領が行う人事など、周囲を怒らせることが累積しつつあるからだ。

 来年の総選挙ではどこの政党が最も多くの支持を集めるだろうか。李大統領が今のような形の人事を今後も続けるようでは、選挙結果は有権者に問うまでもないことかもしれない。

楊相勲(ヤン・サンフン)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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