きょうのコラム「時鐘」 2011年1月12日

 県内でも「伊達直人」さんから善意が届いた。年が明けて、不思議なタイガーマスク運動が広がる

漫画の主人公を名乗って話題になったが、善意の贈り物は珍しい話ではない。小紙編集局にもほぼ毎月、「恵まれない子に」という手紙を添えて、5千円の寄付金が届く

筆跡から見て、贈り主は2人で、共に女性と思われる。匿名だから、確かなことは分からないが、「定期便」は10年以上も続く。継続は大きな実りを生む。タイガーマスクに負けぬ無名のヒロインが、身近にもいる

そろそろオレの出番、と別の漫画「あしたのジョー」の主人公も善意の輪に名乗り出た。やがて「巨人の星」の星飛雄馬も加わるのか。懐かしいヒーローたちである。「漫画ばっかり読むな」と親や教師にしかられたが、あこがれの主人公が時を経て思わぬ活躍をする。大人の小言の中には、聞かない方がいいものもある

別の直人サンも、子どもたちに手当を振る舞う。が、あのカネには、何か魂胆がある。そんな気配が漂うから、人気は上がらない。カネを生かすも殺すも、使う人次第。言い古されたことの重みをあらためて知る。