今度は「矢吹丈」登場　「伊達直人」現象の中

児童養護施設に届いたランドセルと絵の具セット。奥は大西道仁園長

　プロレス漫画タイガーマスクの主人公「伊達直人」を名乗る人物からランドセルなどの寄付が相次ぐ中、兵庫・姫路市の児童養護施設に、今度は漫画「あしたのジョー」の主人公「矢吹丈」が登場、ランドセルなどを届けていたことが１１日、分かった。添えられた手紙には「そろそろ俺の出番かな」と書かれていた。岡山市では「桃太郎」が、埼玉・越谷市でも「肝っ玉かあさん」がランドセルをプレゼント。４３都道府県に「タイガー現象」が広がった。「伊達直人」名義の贈り物も全国９０か所以上となった。

　日本有数の城下町に、突然“ドヤ街のヒーロー”が現れた。兵庫県姫路市の児童養護施設「児童ホーム東光園」の門の前に、漫画「あしたのジョー」の主人公「矢吹丈」を名乗る人物からランドセルなどが届けられたのは、１０日午後１１時４０分ごろ。職員が仕事を終え、施設の門から出ようとした際、塀際に見慣れない“物体”が置かれていることに気が付いた。よく見ると、箱に入った黒と赤のランドセルに、水色とピンクのケースに入った絵の具セットだった。

　職員をもっと驚かせたのは、ランドセルの上に乗せられていた便せんに書かれていた「そろそろ俺の出番かな？　入学おめでとう！！　矢吹丈」の言葉。「伊達直人のやつだ！」とピンと来た職員は警察へ連絡。敷地内に置かれていたことやメッセージから目的が明白なことから、警察は遺失物ではないと判断。“善意の寄付”としてこの施設が受け取ることになった。

　兵庫県では１０日にも、赤穂市の警察署に、こちらは「伊達直人」を名乗る人物からランドセル４個が届けられていた。大西道仁園長（４０）は「職員たちと『何で赤穂に来て、姫路に来（こ）うへんねん』て話してたらホンマに来た」と冗談で話していたことが現実となり、驚きを隠さなかった。また、ＮＥＷＳ・山下智久（２５）主演の映画「あしたのジョー」が２月１１日に全国公開されるとあって、この施設には、製作配給するＴＢＳから取材の申し込みがあったという。

　４２人の子供を受け入れている同施設では今春、小学校に入学する児童が男女１人ずつ。「矢吹丈」を名乗る人物は園内の事情を知っていたとみられる。大西園長は「匿名では現金や洋服などの寄付はあるがランドセルは初めて。ありがたく使わせていただきます」と感謝しきりだった。

　○…１１日午前７時半すぎ、さいたま市緑区の児童養護施設「ホザナ園」裏門付近に箱入りの新品ランドセル２個が置かれているのを入所している男児（１０）が見つけた。市によると、うち１個に「伊達直人」と書かれたＡ４判の紙が貼り付けてあった。近くには筆箱やノートなどの文房具が入った紙袋も置かれ、「矢吹丈」名で「自分も親を知らずに育ったので、皆さん、頑張ってください」とメモが入っていた。

（2011年1月12日06時02分スポーツ報知）