エコ松井！「電気代かかるから」本拠地で入場テーマなし

テーマ曲を使用しないプランを明かした松井

　アスレチックス・松井秀喜外野手（３６）が１１日、ア軍移籍１年目となる今季、本拠地で打席に入る際のテーマ曲を使用しない珍プランを明かした。チーム最年長のリーダーらしく「経費削減だから」と低予算の球団の懐事情まで察したゴジラ流のエコ計画を披露。ＢＧＭの代わりに、０９年のワールドシリーズＭＶＰモデルに戻した新バットで快音を響かせる。

　無音の境地に至った。都内で取材に応じた松井が、驚くべき覚悟を明かした。今季、本拠オークランド・コロシアムで使用する自身のテーマ曲に話題が及ぶと、「オークランドは曲を流していたっけ？　記憶にないけど」と首をかしげた。続けて、「経費削減なんだよ。曲を流すだけで電気代がかかるんだから」。白い歯を見せながら究極の「Ｎｏ　Ｍｕｓｉｃ」の可能性をほのめかした。

　単なるジョークではない。ア軍の昨季の総年俸は全３０球団で２８番目。観客動員も２９位と伸び悩み、低予算を強いられている現状がある。チームリーダーとして「先頭を切って引っ張っていきたい」という決意を体現し、球場の経費節約まで買って出ようという心意気だ。

　ヤンキースでメジャー１年目の０３年は、世界最高峰の舞台にふさわしくビートルズの「Ｇｅｔ　Ｂａｃｋ」を使用。エンゼルスに移籍した昨季は、地元ロサンゼルス出身のバンド「リンキン・パーク」の楽曲を選択してきた。だが、新天地では音楽へのこだわりを封印してもいいという考え。本拠地は太鼓の応援が名物だが、自らのバットが何よりの鳴り物となる。

　先日、ミズノ社を訪れ、今季用にバットを改良。握った際に右手の薬指から中指にあたる位置の直径を１・５ミリ細くした。昨季は同じ箇所を１・８ミリ太くしていたため、ヤ軍を世界一に導いた０９年モデルに戻した形だ。「しっくりくる？　そういうことですね。１年間打って変えようという案が出て削ってみた。まだ握っただけですから。これから打ってみてですね」と好感触を漂わせた。

　年明け初のキャッチボールも行い、「今季は基本的にＤＨだろう。守備を増やしたい気持ちは別にない」。テーマ曲がなくても寂しさはない。「野球をするだけだから」。ゴジラのバットが勝利を奏でる。

　［松井秀喜のテーマ曲］
  ◆巨人（９３～０２年）　２年目にニックネーム同様に「ゴジラのテーマ」を使用。０２年は「王者」にあやかり、クイーンの「Ｗｅ　ａｒｅ　Ｔｈｅ　Ｃｈａｍｐｉｏｎ」を採用した。
  ◆ヤンキース（０３～０９年）　渡米１年目はビートルズの「Ｇｅｔ　Ｂａｃｋ」。その後、同グループの「Ｄａｙ　Ｔｒｉｐｐｅｒ」。布袋寅泰の「バトル・ウィズアウト・オーナー・オア・ヒューマニティー」などを使った。
  ◆エンゼルス（１０年）　地元ＬＡ出身のリンキン・パークの「Ｆｒｏｍ　ｔｈｅ　Ｉｎｓｉｄｅ」と「Ｈｉｔ　ｔｈｅ　Ｆｌｏｏｒ」など。