2010年11月12日 22時18分 更新:11月12日 23時53分
政府は12日、11年度予算の配分で各省が政策を競い合う「政策コンテスト」で、公開ヒアリング2日目の作業を行った。対象は「元気な日本復活特別枠」向けに要望した国土交通、防衛、厚生労働、経済産業の4省の事業。民主党マニフェスト(政権公約)で主要施策とされた「高速道路無料化」関連事業には「国民の支持が集まっていない」などの、厳しい指摘が相次いだ。一方、「在日米軍駐留経費負担」(思いやり予算、1859億円)については「この場の議論になじまない」(玄葉光一郎国家戦略担当相)として、内容に踏み込まなかった。【谷川貴史、坂口裕彦、高橋昌紀】
「パブリックコメント(公募意見)で厳しい国民の声が明らかになった。慎重に判断すべきだ」。評価側の阿久津幸彦内閣府政務官は、国交省の「高速道路の原則無料化の社会実験」(要望額は750億円)の予算要求に対し、苦言を呈した。
国交省は10年度から一部高速を無料化する社会実験に着手し、11年度には対象区間を拡大したい考え。しかし、9~10月に募集したパブリックコメントでは、高速での渋滞懸念などから「必要な事業と思わない」が82%に達した。池口修次副国交相は「実験した高速では交通量が2倍に増え、並行する一般道で渋滞が解消する効果があった」と訴えたが、評価側の理解は得られなかった。
防衛省の事業で注目が集まったのが「思いやり予算」だ。安住淳副防衛相は「米国は大幅な予算増を求めている。米側の苦しい台所事情を勘案し、引き続いて維持することが日米同盟の証しだ」と強調した。
思いやり予算の根拠となる日米間の特別協定は来年3月で期限が切れるため、外務・防衛当局が協定の改定を協議中。増額を求める米国に対し、日本側は現行水準維持の方針を伝達している。高度な外交問題のため、評価側も「日米交渉の結論を踏まえて対応すべきだ」(平野達男副内閣相)と明確な判断を示さなかった。
◇12日の公開ヒアリングの主な対象事業(カッコ内は要望額)
<厚生労働省>
・健康長寿社会実現のためのプロジェクト(233億円)
・最低賃金引き上げに向けた中小企業への支援(62億円)
<経済産業省>
・革新的低炭素技術集約産業の国内立地の推進(300億円)
<国土交通省>
・首都圏空港の強化(95億円)
・社会資本整備総合交付金(2310億円)
・高速道路の原則無料化の社会実験(750億円)
<防衛省>
・在日米軍駐留経費負担(1859億円)