定型発達者もつらい…かな?

花風社・浅見淳子のブログ

白くま式絵カード療育法(ウソ)

2011-01-06 07:30:01 | 日記
白くま母さんは大地君だけではなくアスペルガーではない下の妹ちゃんたちにも絵カードを使っている。
今さら言うまでもないことだろうが、その子に本当に役に立つ絵カードは一人一人違う。

絵カードに限らない。
発達の特性に応じた教育・しつけをするためにはアセスメントが大事。
目の前の子がどういう特性を持っているか見極めることが大事。
普段からその子の認知特性・身体特性などのアセスメントをしっかりやっておくことが大事。
じゃないと適切な支援や発達援助を提供できるわけがない。

そのために白くま母さんは、とにかく子ども達の日常生活を、動画に収めると言う。
遊んでいる様子。食事、着替え、散歩の様子からも、その子の特性を見つけることができるという。
親はプロの支援者じゃないからこそ、常に視野を広げて見ないと特性が見つけられないと母さんは考えている。
録画してみるとわかる。
本人が持つ問題は思ってもみない事ばかり。
それが学習や社会性の問題につながっていることもある。

こういう日常のアセスメントの積み重ねの上に特性に応じて作った絵カードは、有益なコミュニケーションツールとなる。
当たり前のことだ。その子に入るように作ったんだから。

白くま母さんは、この方法を使って、よそのカナータイプのお子さんの絵カード作りも手伝う。
それまで絵カードが入らなかった子が、絵カードを使えるようになる。
いかにカスタマイズするということが、お子さんのQOLを上げるかのいい例だ。
コミュニケーションの表出ができるかどうかは、その後の発達にかかわってくるからね。

その方法論をSNSでちょこっと展開したら、仲間たちから
これはぜひ浅見さんのブログで取り上げてほしいと言われた。
世の中には、その子に応じた絵カード作りをしなければいけないことを知らず
安易に自作カード(しかもどっちかといえば「使えない」類)のダウンロードを促すサイトとかもあり
絵カードでのコミュニケーションを本当に大切に思っている人たちは
そういうサイトを見て、「無責任だ」と感じるらしいです。

一方で、自分自身もアスペルガーだったりすると
どうしてもマニュアルがないと最初の一歩を踏み出せず
「ありもの」に頼ってしまう気持ちもわかるらしい。

「ありもの」が偶然合えばいいけど
そうじゃなくて、自分ちの子には使えない絵カードを単純にダウンロードして、うまくいかなくて
絵カードコミュニケーションそのものをギブアップしてしまったらもったいない。
もう一度言うけれど、その後の発達にかかわる。

白くま母さんは言う。
優秀な特別支援学校の先生たちなどは、ダイナミックアセスメントができる。
課題を与えて、それをこなす様子を観察し、その子の眼の運動まで観察できる。
でも母さんはもちろん、そこまでプロではない。

絵カードを見ているときも、字を見ているか、絵を見ているか
どれくらいの視野の範囲ならこなせるか、何字くらいまでなら同時に処理できるか
どれくらいのタイミングだと絵カードに注目するか
どれくらいの大きさだと認識するか、逆にどれくらいの大きさを越えてしまうとコミュニケーションツールだと認識しなくなるか。
認知の方向性、順序性。これもその子によって違うから把握しておくことが大事。
その子に役立つ絵カードづくりのために必要なアセスメントが
動画を撮って、じっくり観察すれば、保護者にもできる。

プロなら動画を撮らなくてもわかるのかもしれないが
母さんは動画を撮る。それをパソコンに落として何度も何度も見て適切な絵カードのサイズ、字と絵の割合、素材その他を導き出し作ってみる。
仮説・実験・検証の繰り返し。発達を促さない「なんちゃって仮説・実験・検証」ではなく、本当に目の前の子に役立つ検証を導き出すための地道な営みだ。

こうやってその子にカスタマイズして作り上げた絵カードは役に立つ。
今までありものの絵カードを使えなかった子にも有益なツールとなる。
母さんはこうやって、自分のうちの子だけじゃなく、それまでありものの絵カードが入らなかったよそのうちの子も助けている。

こういう工夫が一般的なものかどうか私にはわからなかったので
「白くま式絵カード療育法」と名づけましょうか? と言ったら母さんに言われた。

「そんなの変。
自分の子をアセスメントする習慣を持つのは、親として当然のこと。
特別なことをやっているわけじゃない。
それに私はまだ親としての実績を何も積んでいない。
大地が目標どおり元気に働く大人になるかどうか、先のことはまだわかっていない。
まだ子どもがどうなるかわからない時点で○○式を名乗るのは人間として恥ずかしい」

だから白くま式絵カード療育法とは呼ばないことにします。

修行の裏には、細かなアセスメントがある。
細かなアセスメントをすれば、修行は楽しいものなんですよ。
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