【社説】北は謝罪と再発防止を約束せよ

 北朝鮮の祖国平和統一委員会(祖平党)は8日の報道官声明で、「南北当局による会談を無条件かつ直ちに開催することを正式に提案する。会談のレベルや場所、日時は双方が合意の上で決定することができる」と発表した。祖平党は赤十字会談と金剛山観光の再開を議題とした協議や、開城工業団地に関する協議に関しても、1月末から2月上旬をメドに開城で開催することを同時に提案した。北朝鮮の複数の報道機関は新年の共同社説で「南北対決の解消」を訴え、また政府・政党・団体も共同の声明で「南北当局による無条件の会談開催」を求めたが、これらに続いて今回も再び対話攻勢を仕掛けてきたのだ。

 北朝鮮によるこれら一連の対話攻勢には、国際情勢と国内事情の2つが同時に作用している。今月19日にワシントンで開催される米中首脳会談を前に、関係各国の意見も「6カ国協議の再開に先行あるいは並行して、南北関係の改善が必要」とする方向へと集約されつつある。そこで北朝鮮は今回のように執拗に対話を提案し、それによって「自分たちは南北関係の改善に前向きだ」とのジェスチャーを示そうとしているのだ。また対話に積極的な態度を示すことで、韓国の哨戒艦「天安」を沈没させたことや、延坪島砲撃による国際社会からの圧力も同時にかわそうとしている。もし韓国が対話の提案に消極的な態度を示せば、北朝鮮は米中両国に対して「南北関係の改善を拒否しているのは北朝鮮ではなく韓国」とのメッセージを送り、韓国側に責任を転嫁するだろう。またもし韓国が対話の提案を受入れれば、南北関係改善の大きな障害をうやむやにすると同時に、金正雲(キム・ジョンウン)氏による後継体制構築を難しくしている経済難の克服に向け、経済支援を強く要求してくるのは間違いない。

 祖平党の発表に対して統一部は「北朝鮮の態度が真実のものか疑問だ」とした上で、「今後も北朝鮮の意図や動きを見極めた上で、対応策を取りまとめたい」との反応を示した。北朝鮮は自分たちの報道機関を通じて談話形式の発表は行ったが、正式な提案は今なお行っていない。そのため韓国政府も急ぐ必要はないだろう。今重要なことは、北朝鮮が再び挑発を繰り返さないよう、軍事面と外交面の双方で万全の備えを固め、相手の動きを抑えこむことだ。これに活用できるのであれば、北朝鮮との対話提案もあえて拒絶する理由はない。

 対話の再開に先立っては、何よりも北朝鮮が昨年自分たちが行った相次ぐ武力挑発を謝罪するか、あるいは再開される対話においてこの武力挑発問題が最初の議題となる保証がなければならない。南北が一つのテーブルに向かい合ってもこれらが話し合われないのであれば、韓国国民は誰一人として対話を受入れることはないだろう。

 天安沈没と延坪島砲撃に対する北朝鮮の正式な謝罪を引き出す環境さえ整えられれば、韓国政府は北朝鮮からの対話の提案を受入れるかどうかが問題ではなく、対話のレベルや議題について破格の逆提案をすることも検討できるはずだ。そのためには北朝鮮でそれなりの立場にある人物の口から、天安沈没と延坪島砲撃についての発言が出て来なければならない。北朝鮮が事前の攻勢のために対話を提案したのは、昨年、自分たちが韓半島(朝鮮半島)の緊張を戦争の一歩手前にまで高めたにも関わらず、これらを一切なかったことにするのがねらいだ。そのため韓国政府は「今必要な対話は(北朝鮮が提案する無条件のものではなく)南北関係を悪化させた要因を根本から取り除くための真摯なものでなければならない」との点を、明確な根拠と論理に基づいて、関係国や国民に対して明確に理解させなければならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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