福岡県太宰府市向佐野4丁目の県道で24日午後11時40分ごろ、ワゴン車と乗用車が衝突し、はずみでワゴン車が県道沿いの池に転落した。ワゴン車には男女の高校生ら9人が乗っていたが、うち生後6カ月の男の乳児を含む6人が死亡、残り3人は自力で脱出し、いずれも軽傷だった。乗用車を運転していた同市のアルバイト秦(しん)智之さん(26)も池の中で見つかったが、死亡が確認された。
■衝突、乗用車男性も
筑紫野署によると、脱出した3人を除く6人は救出されて病院に搬送されたが、5人は間もなく死亡が確認された。乳児はいったん蘇生したが、約19時間後に死亡した。
同署によると、現場は片側2車線で、緩やかな左カーブ。ワゴン車と乗用車は並走している際に何らかの原因で衝突した可能性が高いという。ワゴン車は衝突後、車道から約2メートル離れた池の転落防止柵を約10メートルにわたってなぎ倒し、約2メートル下の篠振(しのふり)池に転落した。
ワゴン車は定員7人で定員オーバーだった。脱出した男性2人、女性1人は岸に上がり救助を求めた。残りの男性2人と女性3人、男児1人は1-4時間後に車内や池の中で見つかった。車が沈んでいた付近の池の水深は約2・5メートルで、当時の水温は5度前後だったという。
9人のうち死亡した女性3人は八女農業高の3年生。6人は黒木中学校(福岡県八女市)の同級生だった。
一方、秦さんの車は現場近くのセルフ式ガソリンスタンドに左前部が壊れた状態で放置されていた。同署は目撃情報などから、秦さんが事故後にワゴン車の男女を救助するため、池に飛び込んだ可能性があるとみて、詳しい経緯などを調べている。
同署の調べでは、ワゴン車は福岡市に向かっていた。脱出した一人は「クリスマスのイルミネーションを見に行く途中だった」「何人かで交代しながら運転していた」と話しているという。
大きな音を聞いて池を見に行った現場近くの住人は「ずぶぬれの男性が歩道で『助けてー』『ロープを持ってきて』と叫んでいた。女性1人が池の中にいた」と話した。
現場は、西鉄天神大牟田線都府楼前駅の西約1・3キロで、飲食店や住宅が立ち並ぶ一角。
=2010/12/26付 西日本新聞朝刊=