2011年1月9日5時2分
こうした結果を踏まえ、国交省と鉄道各社は昨年12月から今月10日にかけて、車内放送やポスターで注意を呼びかける運動を展開。同省鉄道局の竹村勝人・安全企画係長は「昨年度より減らすのは難しいが、少しでも伸びを抑えられれば」と期待する。
ホームでの事故が注目されるようになったのは、01年に東京・新大久保駅で転落した男性と助けようとした男性2人の計3人がはねられ死亡した事故がきっかけだ。国交省は鉄道会社に対し、主要な約2千駅のホーム下に待避スペースを確保したり、転落検知マットを整備したりすることを求めた。
この結果、09年度までに待避スペースは100%、非常停止ボタンか検知マットも9割以上の駅に設置され、転落した場合も列車にはねられるケースは減少傾向になった。その一方、ホーム上で列車と接触する事故は増え続けており、多くは酔客とみられる。
こうした事故防止の切り札として期待されているのが「ホームドア」(可動式ホーム柵)だ。高齢者や障害者が安心して公共交通機関などを利用できるよう06年に制定されたバリアフリー新法で新設駅への設置が義務づけられた。国交省は「酔客の転落防止にもつながっていることは間違いない」としている。ただし、費用がかかることなどから、設置された駅はまだ一部にとどまっている。