2011年1月9日5時2分
駅のホームでの人身事故が最悪のペースで増えていることが国土交通省のまとめで分かった。とくに近年は酔客による事故の増加が目立っている。同省や鉄道会社は年末から車内放送やポスターの掲示で注意を呼びかけているが、即効性のある施策は見いだせていない。
昨年12月17日午後11時過ぎ、東京都荒川区のJR西日暮里駅。50代の男性がホームから線路上に転落し、直後に進入してきた京浜東北線の列車と接触した。男性はレールの間に落ち、地面と列車の約30センチの隙間に入って、大けがは免れた。年の瀬の金曜日の夜。JR東日本によると、男性は酒に酔っていたという。
同省によると、2010年4〜9月に全国の鉄道駅でホーム上で列車と接触したり、ホームから転落して列車と接触したりした死傷事故(自殺は除く)は計117件。10月以降も同じペースであれば、統計を取り始めた02年度以降で最も多かった08年度の216件を上回る勢いだ。
事故の原因は様々だが、中でも増加が目立つのは酔客の事故。03年度の33件から一貫して増え続けており、今年度も9月までに68件と全体の約6割を占め、前年度を2割以上上回るペースだ。
酔客の事故は首都圏に集中しており、68件中50件は首都圏で発生。同省が首都圏の鉄道会社12社を対象に、より幅広く、ホームから転落したものの列車との衝突に至らなかったケース757件を調べたところ、549件は酔客によるものだった。
また、02年度以降の統計をみると、死傷事故が多発するのは酔客が多い年末年始と金曜日の午後9時以降。同省によると、酔客の事故は首都圏以外でも近畿圏など都市部に集中しているという。