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新成人 政権に厳しい目

2011年01月11日

写真

晴れ着姿で友人と記念撮影する新成人たち=奈良市の市中央体育館

 ■県内1万5042人 8年ぶり増

 ◎統一選に「投票行く」30人中27人

 県内の多くの自治体で10日、成人式があった。県内の新成人は今年、8年ぶりに増え、前年より120人多い1万5042人(昨年12月13日現在、県まとめ)。多くの新成人にとって、最初の一票を投じる機会は今春の統一地方選。奈良、大和郡山両市の会場で30人(男性と女性各15人)に聞いたところ、民主政権に批判的な意見が多かったものの、ほとんどが投票に行くと答えた。(寺本大蔵、成川彩)

 民主党政権への評価を尋ねたところ、9割近い26人が「評価できない」「あまり評価できない」と答え、「ある程度評価できる」が1人、「わからない」が3人。新成人も民主党に厳しい視線を向けているようだ。

 県内最多の3712人が新成人を迎えた奈良市では、記念式典会場の市中央体育館に約2300人が出席した。

 私立大2年の藤元駿祐(しゅんすけ)さんは民主党政権が掲げた政権公約(マニフェスト)がほとんど達成されていないと不満を持つ。統一地方選には投票に行くつもりだ。「尖閣諸島問題など政府の弱気な姿勢が目につく。もっとしっかりしろという自分の意見を投票で伝えたい」

 国立大2年の河村みどりさんも民主党政権に不満を持つ。裕福な家庭にも一律で給付する子ども手当の財源を雇用問題にまわすべきだと主張する。「投票は大人の義務」と思っており、統一地方選には投票に行く予定。「国会で相手の悪口をいうだけでなく、雇用や就職問題などの議論に時間を割いてほしい」と政治に注文する。

 一方、高専5年、城内建人さんは事業仕分けなど前例がないことに取り組んだことは評価できるという。より世の中に関心を持つために統一地方選には投票に行く予定だ。政府の理科系への研究開発費が削減されることが心配という。「資源がない日本は、技術力で世界と戦ってきた。そこを理解してほしい」

 966人が新成人となった大和郡山市のやまと郡山城ホールでは、新成人の有志15人が企画した手作りの成人式が行われた。20年を振り返るスライドショーや趣向を凝らした歌やダンスが繰り広げられた。

 式の進行役として活躍した声優志望のフリーター、本脇義正さんは「鳩山さんが引退宣言を撤回するなど、今の民主党は信用ならない」と批判的。統一地方選では「雇用回復が期待できる候補者を選びたい」と話した。

 弁護士を目指す大学1年の中谷正治さんは「投票には行くが、政治には何も期待しない」という。政権交代は二大政党制の実現に期待したが、「民主も自民もどっちも頼りない」とばっさり。「日本が発展し続けるとは思えない。視点を変えて安定した日本を目指してほしい」

 一方、政権交代後、初となる今春の統一地方選には9割の27人が投票に行くと答えた。「就職難」や「消費税増税」など身の回りの問題が政治への関心を高めているようだ。

 そんななかでも、会社員の山崎詩織さんは「投票は行かない。誰が政治をやっても同じ」と言い切った。

 ■若者の投票、低い傾向

 各種選挙で、若者の投票率は低い傾向にある。

 県選管によると、2007年4月の知事選で20代前半の投票率は、全体の51・47%を大きく下回る31・66%。前々回(03年)の38・53%からさらに落ち込んだ(全体は61・96%)。

 国政選挙でも、小泉政権下で郵政民営化の是非を争点とした05年9月の衆院選が47・40%(同70・32%)、政権交代の関心が高まった09年8月が49・41%(同71・47%)。いずれも全国平均を上回ったものの、5割を切った。

 県選管は08年度から、県内の希望する高校の生徒を対象に、模擬投票を体験してもらうなど啓発に取り組んでいる。

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 ★☆お笑い・抽選…企画様々☆★

 成人式は大和高田市や三郷町、高取町など8市町村が9日、奈良市や大和郡山市、天理市など23市町が10日にそれぞれ行った。過疎化の影響で曽爾村や御杖村など6村は正月三が日に実施し、天川、黒滝両村は一足早く昨年8月15日に行った。

 自治体の多くで、新成人による実行委員会が運営を手がけた。

 橿原市では、市内6中学校区の代表者らで実行委を組織。式典後のアトラクションとしてものまね芸人らを招いたお笑いライブを開いた。市教委の担当者は「自分たちの成人式ということを自覚してもらい、より思い出に残る一日になれば」と話す。

 一昨年、早期健全化団体になった御所市は、実行委メンバー4人が市の苦しい財政状況を考慮。昨年まで実施していたバンドライブなどをやめ、地元の食品業者などから柿の葉ずしやサンダルなど特産品を募って抽選会を行った。

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