韓日国防相会談:軍事協定締結、韓日に温度差

 韓国の金寛鎮(キム・グァンジン)国防部長官と日本の北沢俊美防衛相は10日、ソウル市内の国防部で第15回韓日国防相会談を開き、韓国軍と自衛隊が国連平和維持活動(PKO)などで部品などを互いに融通できる物品役務相互提供協定(ACSA)、軍事情報の保護に関する規則を定める軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結に向けて協議を進めることで合意した。これら協定が締結されれば、韓日間で初の軍事協定となる。

 ACSAはPKOや人道的支援、海上での捜索救助訓練などを行う際、両国が物資、食料、燃料などを相互支援する内容だ。GSOMIAは北朝鮮の核・ミサイルなど大量破壊兵器や国際的なテロに関する情報を共有するために必要な仕組みとなる。

 国防部関係者は「両国閣僚が協定締結で共通認識に至った。両国の軍事関係のレベルを格上げする契機となるばかりでなく、韓日間の成熟したパートナーシップ構築にも積極的に役立つことが期待される」と述べた。

 両協定が締結されれば、両国は国際活動などで軍需物資を支援し合い、北朝鮮の核関連活動に対する情報を交換することができるようになり、両国は軍事分野にも協力を拡大することになる。米国もこれを暗黙的に指示している。

 しかし、克服すべき課題は多い。まず、韓国軍当局は、独島(日本名・竹島)の領有権紛争や過去の歴史問題などをめぐり依然根強い反日感情を打破しなければならない。国防部関係者が「国民的な感情に考慮し、漸進的、段階的に推進したい」と語ったのもそのためだ。

 日本側はできるだけ早期に軍事協力を進めたいとの立場だ。このため、韓国軍周辺では年内締結は困難だとの見方が優勢ながら、年内締結の可能性は残されているとの観測も示されている。

 中国など周辺国の反発も不確定要素だ。韓日軍事協定が中国と北朝鮮の関係をより緊密化させる可能性もある。外交通商部の南柱洪(ナム・ジュホン)国際安保大使は「北朝鮮の核と突発事態などを考慮すれば、介入ではなく『支援』というレベルで日本と協力関係を強化することは必然的だ。ただ、中国と北朝鮮を同時に見据え、方法論やスピードを調節すべきだ」と指摘した。韓国軍当局も「(検討中の)協定は一般的なレベルの交流協力であり、中国との対決の構図とは全く関係がない」と強調した。

 韓日間の軍事協定に、合同軍事演習や北朝鮮の突発事態に際しての日本の軍需支援などが盛り込まれず、「低いレベル」のACSAを先に推進し、GSOMIA締結には時間を置こうという戦略もそうした状況を考慮したものだ。

 一方、韓日双方は、北朝鮮による延坪島砲撃やウラン濃縮施設公開などの挑発行為が韓半島(朝鮮半島)と北東アジアの平和と安定を著しく阻害しているとの点で認識が一致した。両国は関連する対策で緊密に協調していくことでも合意した。

張一鉉(チャン・イルヒョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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