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捕鯨の新時代告げる年に 4月22・23日 第5回日本伝統捕鯨地域サミット 太地町 捕鯨の伝統はいつの時代も太地から―クジラの町、太地町で今年4月22日(土)、23日(日)、第5回日本伝統捕鯨地域サミット(以下・捕鯨サミット)が開かれる予定だ。2002年、山口県長門市で開かれた第1回サミットから数えて5回目。締めくくりの会議となる。今年、太地の町は古式捕鯨発祥400年を迎える。日本へ、全世界へ「太地」の名を発信する年になりそうだ。 ■サミット締めくくる会議 捕鯨サミットは第1回の開催から最終は太地町で行うことが決まっていた。日本の捕鯨文化をもう一度見直し、新たな捕鯨文化の出発点には国際的にも知られた「クジラの町・太地」がふさわしいという位置づけからだ。 太地町での第5回の捕鯨サミットはグリーンピア南紀の体育館が主会場となる予定だ。22日(土)には前夜祭として那智勝浦町内のホテルで歓迎セレモニーを計画している。 23日(日)は主催する(財)日本鯨類研究所や全国の自治体関係者、研究者らが基調講演やパネルディスカッションなどを行って、伝統捕鯨を内外へアピールする計画があり、係者含め約600人が集まる予定でクジラの町の一大イベントとなる。 ■過去・現在・未来 太地は常に捕鯨のリーダー 捕鯨サミットのあと、6月には「第58回 IWC(国際捕鯨委員会)年次会議」が西インド諸島(カリブ諸島)にあるセントクリストファー・ネーヴィスで開催が予定されている。日本側は太地での成果をIWCに持ち込みたい構えだ。セントクリストファー・ネーヴィスの首相は昨年秋に太地町を訪れ、三軒町長とがっちり握手を交わしている。日本に好条件が揃う。 北洋司教育長は「過去4回やったサミットの総括的な会議になると思う。新しい捕鯨のあるべき姿を模索する重要な会議。新しい方向付けが太地でできればうれしい」と話す。 三軒一高町長も「過去、現在、未来と捕鯨に取り組んでいるのは太地の町だけだ。町をあげて成功させたい」と意気込む。 ■捕鯨サミットこれまでの流れ 2002年5月、日本で9年ぶりの国際捕鯨委員会(IWC第54回年次会議)が山口県下関で開かれたことをきっかけに誕生した。 第1回は山口県長門市で開かれ、太地の鯨太鼓保存会による「鯨太鼓」で幕を開けた。▽鯨体の完全利用とその恵みへの感謝を基礎とした我が国の捕鯨の伝統と文化を誇り、これを保存し、発展させる▽鯨油だけを生産し、クジラ資源を大量かつムダに浪費した欧米型の商業捕鯨は行わない―など8つの宣言文を採択した。 第2回は03年5月に長崎県生月(いきつき)町で開かれた。韓国からも参加があり、東アジアの視点から捕鯨を捕らえ▽日本列島並びに韓(朝鮮)半島における捕鯨史、捕鯨文化研究が東アジア捕鯨史・捕鯨文化が今後さらに進展することを強く期待する―などと宣言。 第3回は04年5月、江戸時代に伝統捕鯨の花が開いた高知県室戸市で開催。各地の自然と風土に根ざした伝統ある捕鯨文化を尊重し、将来にわたって受け継いで行くことを改めて強調した。 第4回は昨年5月、山口県下関市で開かれた。下関市は特に南氷洋捕鯨拠点として栄え、IWC年次総会も開かれた場所。伝統捕鯨地域の人だけでなく、都市部の人々にも捕鯨文化の自覚を求めた。 ■新たな取り組み「クジラの町語りべ講座」も クジラの町・太地をもっと知ろう―サミットに合わせるように住民参加の新たな取り組みも始まっている。町の旧跡、名所や歴史を知り、町を訪れる観光客に説明できるようになり、町の活性化を図るのがねらい。郷土史家の堀端平さんらがボランティアで講師となる。ユニークなのは南氷洋捕鯨に実際に参加した漁野為夫さん、元くじらの博物館館長の雑賀毅さんも講師となり、一般の人ではなかなか知りがたい実際の捕鯨の様子やクジラの生態までも学ぼうという姿勢だ。「捕鯨問題の議論まで突っ込んでいければ」と主催者の北洋司教育長は話す。「息の長い講座としたい。将来は語りべの自主的なグループが生まれればありがたい」。 |
古式捕鯨の発祥から400年。今年は捕鯨サミットも開かれるクジラの町・太地 昨年はシロナガスクジラのレプリカを設置した太地町くじらの博物館。全長26メートルもある巨大なものだ くじら浜公園に展示されている捕鯨船「第11京丸」。太地町の住民も多数乗船し、南氷洋や北洋捕鯨で活躍したという 昨年12月から始まった「太地町語りべ」講座。クジラの町を住民自身が案内しようという新たな取り組みも始まっている |
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