「ゲゲゲの」が、2010年の流行語大賞に選ばれましたね。ゲゲゲ…といえば妖怪を連想する方も多いのでは。今回は、独自の表現で妖怪を描く、田辺市の妖怪絵師をご紹介しました。
熊野古道で知られる和歌山県南部・熊野地方。自然豊かな熊野。実は、たくさんの妖怪伝説が残る地域でもあるんです。
なかでも妖怪「だる」は、熊野地方特有の妖怪。人を“だる”くさせることが名前の由来だそうです。熊野詣での旅人に取りついて、歩けなくするといわれます。
熊野地方の年配の方ならば、一度は聞いたことがあるといわれる「だる」。なんと、この秋、マスコットキャラクターとして誕生したんです。その名も「だるだる」。妖怪だけれど怖くない!
マスコット「だるだる」を誕生させたのが、田辺市在住の妖怪絵師、前田亜希子さん。小学生のころから妖怪の油絵を描き、妖怪に関する本を読みあさっていたという、大の妖怪ファン!今でも妖怪の話題になると目を輝かせます。
独学で絵の腕を磨き、田辺市に来てからは本に妖怪の挿絵を描く仕事もしています。
そんな前田さんが、作品づくりのために欠かさないのが、妖怪ゆかりの場所を散歩することです。
この日は、前田さんにとって、最も創作意欲がわく場所の一つ、岩屋山に登りました。岩屋山は「大てんぐ」の伝説が伝わる場所です。
心なしかテンションの高い前田さん…
こうした場所に来ると、より想像することに集中できて妖怪の気持ちがわかるような気がするそうです。
前田さんは、妖怪の容姿を想像するだけではありません。
その土地の風習や歴史を調べて、妖怪の性格なども考えながら描いていきます。
妖怪を通して熊野の歴史、文化、自然を知ってもらい、たくさんの人に熊野地方の魅力を伝えたいという前田さん。これからも前田さんの手によって、熊野に伝わる妖怪たちが生き生きとした姿を現していきます!
空気が冷たくなってきましたね。そこで、今回は心温まる話題をお届けしました。
橋本市で60代半ばから腹話術と日本舞踊でボランティア活動を始めたご夫婦です。
多田則一さんとカヨ子さんです。ご夫婦がボランティア活動をするようになったのは11年前に則一さんががんを患ったことがきっかけでした。
「がんと知って、えらいことになったと思った。でも命を助けていただき、すぐに何かでお返しがしたいと思った。」と話す則一さん。
そこで、腹話術のボランティア活動を知り、観客を笑顔にする活動に取り組み始めました。
則一さんには、オリジナルの腹話術へのこだわりがあります。それは、腹話術の内容を手作りで、より身近な話題に心掛けることです。
さらに、得意の「歌」を取り入れようと、毎朝発声から3時間以上鏡の前で練習をし、人形が生きているように見せるための訓練をしています。
一方、カヨ子さんは「病気の時は駄目だと思った。でも、わたしにできることならどんな事でも協力して一緒にやっていきたい。」と、生涯支えていくことを決心したと言います。
腹話術で使う人形の衣装はカヨ子さんの手作り。さらに、舞台では則一さんの曲をセットするなど裏方としても支えています。夫婦のきずなを感じますね。
年間30カ所を訪れている多田さんご夫婦。この日も、地元の施設を訪れました。
冒頭から腹話術で観客の心をつかみます。
次に、ご当地ソング「和歌山ブルース」を男女の声を歌い分ける一人二役でデュエットします。
そして、則一さんの歌に合わせ、カヨ子さんが舞踊を披露。
50年以上連れ添った夫婦ならではの息の合った歌と踊りに見ている人の表情が和んでいました。
病気を乗り越えてスタートしたご夫婦の新たな人生。
これからもたくさんの人と笑顔の交流を続けてほしいですね。