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【社説】

民主党内対立 国民不在にうんざりだ

2010年12月21日

 民主党内で小沢一郎元代表の政治倫理審査会への出席をめぐる対立が続いている。政策実現のための「生みの苦しみ」なら甘受するが、そうではなかろう。国民不在の内紛には正直うんざりだ。

 ここ二十年間、さんざん見せつけられた政治劇がまた、国民の眼前で繰り広げられている。

 「反小沢VS親小沢」

 この構図からいいかげんに脱し、民主党には国民生活をよくする政策の実現に全力を傾注してほしいと思う。国民の思い通りにならないのは民主党が政権政党として未熟なのか、政権交代に夢を見た国民の方が甘かったのか。

 菅直人首相(党代表)による小沢氏説得も不調に終わり、首相は党として政倫審への招致議決に踏み切る考えを記者団に表明した。

 しかし、招致手続きを進めれば事態が打開され、来年の通常国会で国民のための政策が次々実現するという見通しは全くない。

 そもそも小沢氏は招致が議決されても、政倫審には出席しない考えを首相に伝えている。民主党内には議決が無視されれば、離党勧告などの処分に踏み切るべきだとの強硬論もあるが、それでは対立が深まるだけだろう。

 野党の協力が得られるのなら、それもよかろうが、確たる見通しもなく民主党が分裂すれば政権基盤はより弱くなり、政策実現など望むべくもない。それは国民が民主党に求めた姿には程遠い。首相は小沢氏の政倫審出席に向けて説得を続けるべきである。

 首相が「脱小沢」を鮮明にすれば内閣支持率の低迷から抜け出せると考えているなら甘すぎる。

 政権低迷の根本は、首相の政治指導力と民主党の政権担当能力に対する疑問だ。これらを立て直すことなしには、国民の政権に対する信頼は回復しない。

 小沢氏が政倫審に自ら出席して説明することが法的責任とは別に、国会議員としての政治的責任を果たすことになるのは言うまでもない。「一点もやましいことはない」と言うのなら、進んで協力すればいいではないか。

 小沢氏支持議員は党執行部の地方選連敗の責任を問う姿勢を示しているが、小沢氏の「政治とカネ」自体が敗因の一つであり、小沢氏側は責任を追及する立場にない。

 民主党議員が今すべきは、一丸となって、事態打開のために政治的な知恵を絞ることだろう。それができないのであれば、政権を担う資格などない。

 

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