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ここから本文エリア 取材メモから
(6)県内二大政党の対決2010年12月22日
「期待に応えられず、申し訳ない。鳩山政権は官僚を敵視しすぎた。菅政権は逆に官僚の言いなりになり、国民から見下されている」 12月10日、青森市であった民主県連の街頭演説。横山北斗代表は冒頭から平謝りだった。「政権交代して1年半、こんな状況になるとは思わなかった」とも嘆いた。 民主党の先行きはどんどん曇っている。小沢一郎元代表の政治とカネの問題で党内対立が深まるなか、民主県議の一人は「来年は反小沢、親小沢で党分裂だな」と顔色がさえない。 民主の迷走は7月の参院選に始まる。青森選挙区(改選数1)では、自民前職の山崎力氏(63)が28万7385票、民主新顔の波多野里奈氏(37)が22万2875票。公示前には予想できなかった惨敗だった。 消費増税をめぐる菅直人首相の発言のぶれ、政治とカネの問題といった全国的な問題だけでなく、民主県連にも敗因はあった。 民間団体主催の選挙前の公開討論会では、波多野氏の出欠をめぐって県連が「代理で現職国会議員が参加」と言ったり、「(本人不参加の)草稿段階の文書を誤って送った」と言い直したりした。 ある民主県議は「政権与党の候補が逃げたら誰も支持してくれなくなる」。結局、波多野氏は病欠し、残る立候補予定者だけで開かれた。 波多野氏は県内の民放で3年半の勤務経験があるが、東京出身の「落下傘候補」。複数の民主県議を押しのけての公認決定には、露骨に「応援に力が入らない」と漏らす民主県議や支持者もいた。 ◇ ◇ 一方の自民県連もまた、必死だった。菅政権が誕生した当初の6月の内閣支持率は60%と高かったうえ、山崎氏の60代前職という「時代にバックギアを入れるイメージ」(自民県議)に悩んだ。 そんな逆風下でも組織の力で一定票が見込めるのが自民の底力だろう。 自民か民主か迷う有権者の気持ちを聞こうと、青森市浪岡地区の農業地帯を歩くと、高齢の女性らは「うちは昔から木村だから」ときっぱり。木村守男前知事と、長男で自民県連会長の木村太郎衆院議員のことだ。党より個人。青森の「保守の牙城」を支える人たちはこういうところにいるのだ、と思い知らされた。 建設業界の会合では、自民県議が公共事業削減に苦しむ業者のぐちを聞き、励ましていた。ある建設会社社長は「公共事業を直接受注できなくても、その下請けに入りたいから業界のつながりが大切」。自民支持の多い業界で1人だけ民主支持に回ることはない、と教えてくれた。 民主の自滅、自民の底力が生んだ6万票超の大差なのだろう。二大政党対決は来年、春の県議選と6月任期満了に伴う知事選で一つの区切りを迎える。 自民は県議選で現有25議席からの上積みを目指し、30人を擁立する方針。知事選では三村知事推薦の見込みで、すでに政策協定を結ぶ準備に入っている。いずれも万全の態勢で臨むだろう。 民主は、県議選は「風向き次第の候補もいて、現有11議席の維持すら難しい戦いになる」(民主県議)。16ある全選挙区に候補を立てる当初の方針も断念。知事選も年内の候補擁立をほぼ断念した。民主にとって来年が試練の年になるのは間違いない。(別宮潤一)
マイタウン青森
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