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現場から:「参院選」 政権交代も過渡期に /神奈川

 年末年始にかけて政局が騒がしくなってきた。民主党の小沢一郎元代表の国会招致を巡る党内対立、内閣改造を求める声、大連立構想の再燃……。これらの動きの元をたどれば、民主が7月の参院選の敗北によって参院で与党議席の過半数割れに追い込まれ、「ねじれ国会」が再現されたからに尽きる。

 神奈川選挙区(改選数3)で、民主は現職2人の議席死守を図った。09年10月の参院補選で議員バッジをつけたばかりの金子洋一氏が再選し、5選を目指した現職法相(当時)の千葉景子氏は次点に泣いた。同選挙区で04、07年と連続して2議席を確保していた民主。与党化に伴って曲がり角を迎えた党勢を象徴する結果となった。

 民主県連が9月に報告した総括に基づいて選挙結果を改めて分析すると、大票田の横浜、川崎両市で民主候補2人そろって当選圏内に入った区がなかった。みんなの党新人の中西健治氏は横浜市の得票で首位に立ち、全体でも2位で初当選。無党派層や非民主支持層を取り込んだとみられるが、同党の真価が問われるのは、鮮度が落ちる今後だろう。

 菅直人首相は公示直前を含め4回も応援で来県した。しかし、消費税の引き上げを巡る唐突な発言で自滅を招いた。伸子夫人は7月に出版した著書で、こんな違和感を示した。「私は、菅が総理になったいまも、どうも実感がないというか、本当にこれでいいのだろうかという思いが、拭いきれません」。官房長官が首相によるリーダーシップの発揮事例を年末に列挙するような政権運営は、ますます不安感を強める。

 一方、最大野党の自民党も現職の小泉昭男氏がトップで再選しながら、比例代表の県内得票率は20・55%と、民主(30・51%)に水をあけられた。政権奪還への道のりは険しい。

 政権交代後も国政は過渡期にある。来年4月には統一地方選が実施される。まずは身の回りの地域のことから、政治のあり方を考えたい。【木村健二】

   *  *

 今年も、残すところあとわずか。記者たちが現場から、この1年を振り返ります。

毎日新聞 2010年12月22日 地方版

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