タイ 2010年12月27日(月曜日)
景気急回復など実績を強調:アピシット政権、発足から2年[政治]
アピシット首相は24日、政権発足2周年を迎えたことを機に、テレビを通じて演説し、景気の急回復など実績を強調した。今後は生活費上昇の抑制、福利厚生の拡大、インフラ投資を推進する方針だ。一方、解決できていない問題としては、麻薬、汚職、社会の対立を挙げた。
25日付各紙によると、アピシット首相が明らかにした実績は◇国内総生産(GDP)伸び率がマイナス2.3%(2009年実績)から7.9%(今年見込み)に好転◇失業者は87万8,000人から34万3,000人に減少◇タイ証券取引所(SET)の総合株価指数、SET指数が08年末の450付近から1000以上に伸びた――ことなど。
福利厚生では、570万人の高齢者と80万人の障害者に毎月500バーツ(約1,370円)の手当を支給する制度を実施した。農家向けには400万世帯が対象となる価格保証制度を開始。闇金融の高金利に苦しむ債務者45万人には低金利の借り換え融資を提供した。
教育面では、1,200万人が対象となる15年間の教育費無償化を実施した。
アピシット氏は2008年12月17日、首相に就任。同月22日にアピシット内閣が発足した。政治、経済ともに大混乱のさなかの内閣発足だった。
米国発金融危機で世界中の市場が混乱し、各国が対策を打ち出す中、タイはタクシン元首相の支持派と反対派の対立が激化し、タクシン派のソムチャイ政権が機能不全に陥り、対応が遅れていた。
タクシン元首相の支持派と反対派の対立は08年11月末に頂点に達し、反対派の民主市民連合(PAD)が、ソムチャイ首相辞任を求めて、バンコクの2空港を占拠する事態に発展した。
同年12月2日、憲法裁判所が、選挙違反でタクシン派の国民力党に解党を命じ、ソムチャイ政権が崩壊。その後、ソムチャイ政権に参加していた小政党、タクシン派政党の一部派閥が寝返ったことで、アピシット政権が発足することになった。
アピシット政権は基盤が脆弱(ぜいじゃく)だったため、当初は数カ月の短命に終わるとも予想されていた。