「小沢問題」で問われる自身の政治家としての「真贋」 - 10/12/27 | 11:50 |
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塩田潮
経営危機で年が越せるかどうかの瀬戸際の瀕死企業、という感じの民主党政権の年の瀬だ。
菅首相は衆参ねじれ、党内対立、支持率低落の三重苦で薄氷の政権運営、対する小沢元代表は強制起訴目前で立ち往生、国民の民主党離れはさらに加速という悪循環が続く。
打開策として、内閣改造や「たちあがれ日本」との連立話が浮上しているが、解決を迫られている最大の課題は「小沢問題」である。20日の菅・小沢会談に続いて、25日も2人は顔を合わせたが、不調に終わった。
今日(27日)、民主党役員会で協議するが、証人喚問には全会一致の賛成が必要で、結局、結論が出ないまま越年となる可能性が強い。
菅首相側は、小沢氏に政倫審出席か国会招致を迫り、拒否なら離党カードを突きつければ、支持率が回復し、野党抱き込みの条件整備が進むと算盤を弾く。一方の小沢氏はおそらく2011年中に裁判問題を片付けて12年の代表選で勝負というシナリオと思われる。
そのためには、無罪判決獲得と12年までの政治的パワーの確保が必須条件となるが、両立はかなりむずかしい。政治リーダーとして生き残るには国会での説明責任の遂行が欠かせない。裁判対策を理由に拒むなら、裁判第一だから政治活動の一時休止をという声が出て、離党論が勢いを増す。
両方ともノーと言い張っているが、まさか昔の田中元首相のように政治の「数の力」を裁判対策に使うといった発想と作戦ということはないだろう。
不本意ながらも、強制起訴となる以上、ここは腹を括り、国会に出て説明するか政治活動を一時休止して裁判に専念するか、どちらかに決めるしかない。
もしかすると、一時的とはいえ、退却すれば、グループは激減し、12年の勝負が困難になると恐れているのかもしれない。だが、それで国民と民主党内の期待と支持をつなぎ止められないなら、もともと小沢氏の政治的実力はその程度という話になる。
「小沢問題」で問われているのは、菅政権の浮沈や民主党の盛衰ではなく、議員生活40年余の小沢氏の政治家としての真贋である。
(写真:尾形文繁)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師―代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男―宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊―昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究―政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代―「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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