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選挙:東京都知事選 石原氏、いまだ沈黙 東国原氏決意も、各党動き鈍く

 <追跡>

 来春の東京都知事選に宮崎県知事の東国原英夫氏(53)が出馬の意向を固めたことが明らかとなった。しかし、現職の石原慎太郎氏(78)が進退を明言しておらず、これに引きずられるかのように各党の動きは鈍い。【石川隆宣、真野森作、田村彰子】

 石原氏は先週の定例会見で、東国原氏から最近面会を求められたが、理由がよく分からず断ったことを明かしたうえで、「あの人は(家畜伝染病の)口蹄疫(こうていえき)の後始末をどうするのかね」と、1期での転身をチクリ。

 石原氏は年齢からも4選出馬の可能性は低いとみられてきたが、最近は「政治の世界は一寸先は闇」などと思わせぶりだ。知事野党が過半数を占める都議会での予算審議を控え、引退を表明して野党を勢い付かせるわけにはいかない事情もある。「首都東京を任せられる人の出馬の動きを待っているのでは」。石原氏の心中をこう察する声も強い。

 知事与党の自民、公明は石原氏が出馬を決断すれば引き続き支援する姿勢だ。

 長男で党幹事長兼都連会長の伸晃氏は10月の記者会見で「最後困ったらもう一回やってもらいたい」と漏らした。現在は「待ち」の状態だけに、新たな候補者探しは本格化していないのが実情だ。

 東国原氏について都議会自民党幹部は「都政は地方といいながらも日本政治そのもの。東国原さんではいかんともしがたい」と辛口の評。都議会公明党幹部も「知事としてやってきたことが見えない」と冷ややかだ。

 民主党は岡田克也幹事長が27日の記者会見で、都知事選に関し「民主党の候補者が出ないということは考えられないことだ」と述べ、党独自候補を擁立する考えを明言。だが、菅内閣の支持率低迷に加え、小沢一郎元代表の政倫審招致問題による党内の混乱もあり、候補者選定は遅れている。

 そんな中、「勝てる候補」として、知名度抜群の蓮舫行政刷新担当相(43)を推す動きがある。本人は24日の会見で「現段階では考えていない」と否定したが、「最後の切り札」(衆院議員)とささやかれる。

 東国原氏については、加藤公一・都連会長が「出たいという雰囲気は伝わっている」(今月8日)と話したように、「想定内」との受け止め方が大勢だ。昨年6月の衆院議員への転身騒動を揶揄(やゆ)し、「総理になるためのステップでは」との見方がある一方で、「人気投票の要素が強まれば手ごわい」(都連幹部)と警戒する声も根強い。

 今夏の参院選東京選挙区で議席を獲得したみんなの党も独自候補擁立を目指し、他党との相乗りには「簡単には連携できない」と慎重。共産党も市民団体と連携して候補擁立を模索している。

 このままいけば、各党とも具体名を出せず、こう着状態が続く可能性も指摘される。

 東国原氏は27日、都知事選に関し「決まっていない」と述べたものの、28日の定例会見で何らかの意思表示をするとみられている。

毎日新聞 2010年12月28日 東京朝刊

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