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「腹案ある」「脱小沢」… 語録で振り返るこの1年 '10/12/30

 歴史的な政権交代の熱気は急速に冷め鳩山政権は崩壊、後を引き継いだ菅政権も屋台骨が揺らいでいる。2010年の政治を語録で振り返った。(肩書は当時)

 ▽脱税王

 「国民のための政治をつくり上げる正念場の1年だ」。1月4日、年頭記者会見でこう決意を語った鳩山由紀夫首相だが、早々に出ばなをくじかれた。

 東京地検は15日、小沢一郎民主党幹事長の政治資金問題で元秘書を逮捕。検察との全面対決姿勢の小沢氏に、鳩山首相は「どうぞ戦ってください」とエール。その首相は実母から巨額の資金提供をうけていた問題で批判に。自民党の与謝野馨氏は首相を「平成の脱税王」と切り捨てた。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で、鳩山首相は繰り返し県外移設への意欲を強調。その根拠を問い詰められると大見えを切った。「私には腹案がある」。しかし、5月4日の沖縄訪問では「沖縄の米軍が抑止力を維持していると分かった」とあっさり断念、沖縄県民の怒りを買った。

 県内移設に反対する社民党の連立離脱で政権は一気に終幕へ。鳩山首相は6月2日の民主党両院議員総会で「私も引く。幹事長も引いていただきたい」と小沢幹事長とのダブル辞任を表明した。

 ▽しばらく静かに

 首相後継を決める民主党代表選は、菅直人副総理兼財務相が3日の出馬会見で「小沢氏はしばらく静かにした方がいいのではないか」と「脱小沢」を宣言した。

 7月11日の参院選。菅内閣の支持率V字回復で民主党単独過半数も視野に入れていた首相だったが、大きな落とし穴があった。消費税増税について「自民党が提案している10%を参考としたい」とした発言で情勢は一変。民主党は大敗し、自民党や「第三極」を掲げる渡辺喜美代表のみんなの党が躍進した。参院で野党多数派の「ねじれ国会」が再来する。

 9月14日の民主党代表選は菅首相と小沢氏の一騎打ち。「クリーンでオープンな党運営」を訴えた首相が激戦を制し、敗れた小沢氏は「一兵卒として民主党政権を成功させるため頑張る」

 ▽「熟議」なく

 だが、菅政権の迷走は続く。9月7日に沖縄県・尖閣諸島付近で発生した漁船衝突事件で日中関係は急激に悪化。那覇地検が決定した中国人船長の釈放について、仙谷由人官房長官は「決定を了とする」。野党は「捜査への政治介入だ」と一斉に批判した。

 10月4日に検察審査会が小沢氏の強制起訴議決を公表。小沢氏は離党や議員辞職を否定したが、国会招致については「国会の決定には従う」と淡々と発言した。

 11月22日、国会答弁は「二つ覚えておけばいい」と語った柳田稔法相が辞任。26日には漁船衝突事件の対応などをめぐり、参院が仙谷氏らの問責決議を可決。与野党対立の中で菅首相が掲げた「熟議の国会」は看板倒れに終わった。

 小沢氏で明けた今年の政局。やはり小沢氏で幕を閉じるようだ。12月28日、小沢氏は拒み続けてきた衆院政治倫理審査会へ自発的に出席する意向を表明した。方針転換を「挙党一致のため」と説明した。




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