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年末特集=「2011年はこうなる」―政治を読む:消費税引き上げ議論が再燃、政界再編含みの1年(2)

2010/12/30 18:50

<命運握る統一地方選>

 衆議院政治倫理審査会への出席か、民主党離党かの二者択一を迫られた小沢元代表は、12月28日の記者会見で(民主党最大の支持基盤である)連合から要請があり、政倫審への出席することを決めたことを明らかにした。小沢元代表の政倫審出席により、とりあえず小沢元代表の離党はなくなったことから、いったんは民主党の分裂は回避された格好となった。しかし、民主党内が“同床異夢”の集団でしかないことは誰の目にも明らかで、“民主党分裂=政界再編”の目がなくなったわけではない。事実、支持率が30%を割り込んでいる菅政権は、その軟弱な政権基盤の強化を狙い、12月下旬に「たちあがれ日本」へ連立政権入りを打診したが、見事に袖にされている。

 仙谷・馬淵両大臣の問責決議問題を抱える菅首相は、常会が始まるまでに新内閣の人選を固める意向を示している。野党側の追求をかわし、最重要法案である11年度予算案とその関連法案を常会で成立させるため、内閣改造で乗り切る構えだ。そのためには、“菅第2次改造内閣”への仙谷・馬淵両大臣の入閣はないだろう。事実、小沢元代表が政倫審出席を表明した12月28日、小沢元代表の政倫審出席とのバーターのように、仙谷官房長官らの辞任話が鳩山前首相の口から漏れている。

 政局を読むうえでの最も大きなイベントは、11年4月10日と24日に予定されている統一地方選だろう。これは、13都道県の知事選が行われるもので、「統一地方選の勝者(政党)が13年の衆議院選、参議院選(同日選挙の可能性もある)の勝者になる」とまで言われている。その前哨戦として注目された12月12日の茨城県議選は、民主党が23人の公認候補を擁立したにもかかわらず、改選前と同じ6人の当選にとどまり、公認候補の4分の3が落選するという結果になった。同県議選で自民党は、改選前より6議席減らしたものの、過半数を維持した。統一地方選の敗北が、菅内閣の命運を決める可能性すらある。

 いずれにしても、民主党政権は党内に“獅子身中の虫”である小沢元代表を抱え、およそ盤石な基盤とは言えない状況のままであることには変わりはない。小沢元代表の政倫審出席により、目先の民主党分裂は回避されたものの、先行きは不透明だ。むしろ、政権基盤の強化のためには、さらなる連立を組む可能性は大きい。とするなら、秋の臨時国会閉会直前から盛んに出てきている“自民党との大連立”という政界再編シナリオが現実味を帯びてくるかも知れない。2011年は政界再編の影を常に引きずった年となるだろう。(鈴木 透)

提供:モーニングスター社

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