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東京発の公電、ウィキリークス暴露 捕鯨めぐり日米協議

2011年1月3日20時58分

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 【ロンドン=伊東和貴】民間告発サイト「ウィキリークス(WL)」は3日までに、東京の在日米国大使館が作成した外交公電を初めて公開した。捕鯨問題に関する米側と福山哲郎外務副大臣(現官房副長官)らとの会談内容が記されている。WLが入手した米国の外交公電約25万件のうち、「東京発」の公電は5千件以上あるとされる。

 今回公開された公電は2009年11月〜10年1月に作成された3件。いずれも捕鯨についての米側と福山氏や水産庁幹部らとのやり取りで、「秘」に指定されていた。

 10年1月の公電は、同25日のマーク・ウォール在日米国大使館経済担当公使と福山氏との会談内容を記録。ウォール氏は捕鯨問題での国際合意を達成するため、日本に鯨肉を輸出しているアイスランドに「捕獲枠を減らすよう働きかけて欲しい」と求めた。これに対して福山氏は「捕鯨問題で性急に動けば、国内政治の問題になる。民主党への拒否反応が出かねない」などと、協力を渋ったという。

 ウォール氏は翌日、山下潤・水産庁次長にも同様の要請をしたが、山下氏は「2国間の鯨肉貿易は、国際捕鯨委員会(IWC)のルールも禁じていない」と述べたという。

 民主党の鳩山由紀夫内閣は当時、沖縄の米軍普天間基地移設問題で迷走し、内閣支持率が急落していた。福山氏の発言の背景にはこうした内政事情もありそうだ。

 また、09年11月の公電は、日本の調査捕鯨を妨害している米国の反捕鯨団体シー・シェパード(SS)を巡る、IWCのモニカ・メディナ米政府代表と町田勝弘・水産庁長官(現農林水産事務次官)の協議内容を記載。町田氏がSSの暴力的な抗議活動が捕鯨交渉を難しくしていると訴えると、メディナ氏は米国がSSを非課税団体にしない可能性を示唆したという。

 この後、10年6月にモロッコであったIWC年次総会では、捕鯨国と反捕鯨国が日本の調査捕鯨などを巡って激しく対立し、交渉は決裂した。

 WLが入手した公電は約25万件。東京発は各国の米大使館別で3番目に多い約5700件で、約1900件が「極秘」「秘」に指定されている。WLは昨年11月28日、ウェブサイトで公電暴露を始めた。事前に情報提供した英紙ガーディアンなど提携先の欧米メディアも公表と報道を続けている。これまで明るみに出た日本関連文書はすべて、日本以外が発信元だった。

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