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政治を動かす2011:キーマンに聞く/1 民主党・前原誠司外相(48)

 ◇「ねじれ」破る力を 首相の明確なメッセージ必要

 民主党の小沢一郎元代表の国会招致問題を巡り、菅直人首相と小沢氏の対立が激化する中で迎えた11年。「小沢切り」による政権浮揚を狙う首相に対し、野党は通常国会(1月24日開会で調整中)で衆院解散・総選挙に追い込もうと対決姿勢を強める。緊迫しそうな11年政局。与野党のキーマンはどう動こうとしているのか。

 「ポスト菅」の呼び声が高い。首相を支持し、「脱小沢」路線を鮮明にしてきた。首相は通常国会前に小沢氏が衆院政治倫理審査会に応じなければ、離党勧告も辞さない構えだ。

 「菅首相と岡田(克也)幹事長がリーダーシップを持って小沢さんの問題に対応されている。閣僚の一人としてしっかりバックアップしていく。党としてどうけじめをつけるかということは、国民に厳しく見られている」

 しかし、参院で野党が多数を占め、法案成立には野党の協力が必要な「ねじれ国会」をどう乗り切るのか。問責決議を受けた仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相が交代しなければ野党は審議拒否の構えだ。昨年末には、たちあがれ日本との連立構想が破談に終わり、11年度予算案審議が行き詰まり衆院解散に追い込まれる「3月危機説」もささやかれる。

 「ねじれというのは恐ろしい。麻生(太郎元首相=自民)さんは結果的に(09年の)衆院選に大敗した。ねじれを乗り越えるだけの推進力、何をやりたいのかという菅首相の明確なメッセージが必要だ。どこ(の政党)と組むということでなく、何をするために協力を呼びかけるのかが大事。あまり選挙ばかりやっていたら、この国はより足腰が弱くなる」

 人口減少、少子高齢化、莫大(ばくだい)な財政赤字という三つの制約要因を乗り越える対策を策定し、実行に移すことが政治の役割だ、と強調する。首相が年頭所感で「平成の開国」を目指すとして訴えた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の協議推進や社会保障制度と消費税を含む税制の抜本改革も大きなテーマだが、一筋縄でいかない。

 「安定した税収と成長を両立させるための抜本的な税制改革は避けて通れない。ぜひ首相には腹を据えてやってもらいたい。『国を開く』ために米国との自由貿易をどう切り開き、中国との経済連携をどう行っていくか考えなくてはいけない」

 昨年の民主党政権は外交・安全保障政策が鬼門だった。沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題で鳩山由紀夫前首相が退陣し、菅首相も尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で内閣支持率が急落した。党内きっての知米派で米国要人に太いパイプを持ち、日米関係立て直しを担う。一方、中国とは厳しく対峙(たいじ)し、警戒感も誘発した。

 「日本外交にとって一番大事なのは確固とした日米同盟関係だ。鳩山政権が普天間の県外・国外移設(の公約)を守れなかったことで日米関係はかなり揺らいだが、今は完全に立ち直っている。(沖縄県名護市辺野古への移設に)沖縄のご理解をいただくまでは普天間の継続使用になって、米国のプレゼンスと抑止力は生き続ける。平素からの協力、日本有事、周辺事態の協力を日々深化させている」【聞き手・西岡省二】=つづく

毎日新聞 2011年1月5日 東京朝刊

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