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衝撃 4選不出馬 秋葉広島市長(下)

2011年01月07日

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広島商工会議所の新年互礼会で、藤田博之・広島市議会議長(右)らに囲まれる秋葉忠利市長=4日、広島市中区

 「広島市は、新春早々激震が走りました」。6日午後、同市中区であった連合広島の「新春旗開き・賀詞交歓会」。来賓の藤田博之・市議会議長のあいさつが、会場の約400人に響いた。

 秋葉忠利市長の突然の退任表明から2日。連合広島はこの日午前、市内で労組幹部らを集めた会議を開き、市長選の対応を協議した。「市民に受け入れられる人、財政問題や目の前の課題に対応してくれる人を選びたい」。会議は非公開だったが、出席者によると、連合広島の伊丹幸男会長はそう呼びかけたという。

 連合広島は前回選挙で、政党・組織の推薦を求めない秋葉氏を、一部の単組などを除いて勝手連的に支援した。政策制度要求への対応や核廃絶への取り組みなどで連携してきたのが支援の理由だった。

 だが4年が過ぎ、「『経済対策が不十分だ』『平和だけでは、暮らしはどうにもならん』といった不満の声が組織内でくすぶっていた」と、ある労組幹部は指摘する。

 会議では、組織内に「市長選対策委員会」を設けることが了承された。だが具体的な候補者名や意見などはほとんど出なかったという。「他党の動きなどの様子見、というのが暗黙の了解だ」。関係者はそう説明する。

 前回、連合広島と歩調を合わせ、やはり勝手連的に秋葉氏を支援した民主党県連も同日夜、広島市に関係する議員らが、市長選の対応を話し合う緊急の会合を開いた。

 中央での政権交代から1年4カ月。内閣支持率は低迷し、苦境が続く。定数55の広島市議会でも、党公認の議員は2人しかいない。そこにまさかの退任劇が重なった。

 県連幹部は「独自候補を出すかどうかも含めて白紙の状態。政権与党としてしかるべき答えを出す」と語った。

 対する自民党はどうか。「分裂する会派をいかに一本化できるか。外より内の結束にかかっている」。県連関係者は苦しい胸中を明かす。

 県議、広島市議ともに圧倒的な勢力を持ちながら、社民党衆院議員から転じた秋葉氏が初当選した1999年以降、前回までの3回の市長選で、党の推薦候補はすべて落選する憂き目にあった。

 広島市議会で自民系会派に所属するのは計6会派31人。ただ、秋葉氏と協調路線を取る藤田議長所属の「市民市政クラブ」など2会派(計10人)と、反市長色が濃い最大会派「自民党新政クラブ」など4会派(計21人)は、事実上の分裂状態にある。

 反市長派の市議は「40〜50歳代で、選挙経験のないフレッシュな人材を探している」としたうえで、「秋葉氏の不出馬で『反秋葉層』の票は狙えなくなった。政党を超えて団結しなければ当選は難しい」と分析する。

 一方、「若くて資金力があり、政党色がない候補が出てくれれば一番いいのだが」と語るのはある自民系の県議。イメージしているのは中央官僚出身で、民間経営者としての経験があり、英語も堪能な湯崎英彦知事(45)の姿のようだ。

 自民党に近い広島市の財界関係者は「秋葉市長が次期選挙に出馬していたら、どの政党も対抗馬は出せなかっただろう」とみる。

 「『広島の街を何とかしよう』という思いを持ち、リーダーシップが取れる人材はなかなか見つからない。まだみんな、他人任せだ」

 前回に続き、無所属での立候補を表明している中小企業経営支援団体代表で元広島市議の大原邦夫氏は「政党や団体の推薦を広く受け入れたい」と話す。前回は自民市議や労組関係者の一部が支援したが、これまで政党などからの働きかけはないという。

 前回秋葉氏を自主的に支援した共産党県委員会は「近く対応を協議する」、社民党県連合は「対応は白紙」とする。みんなの党県広域第一支部は「独自候補も含めて模索中」、公明党県本部は「しばらくは状況を見極めたい」と具体的な動きは見えてこない。同市長選には、ほかに元不動産業の荒木実氏、市民団体代表の呉羽山人氏が立候補を表明している。(水田道雄、村形勘樹、山下奈緒子)

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