東京都知事選(4月10日投開票)について、蓮舫行政刷新担当相(43)が7日、「声がかかれば出馬を検討する」と明言した。人気閣僚の突然の意欲表明。実際に名乗りを上げれば、石原慎太郎都知事(78)や、東国原英夫・宮崎県知事(53)らと激しい戦いとなる可能性がある。その場合、一体誰が勝つのか。専門家2人がシミュレーションした。
現時点で、都知事選に正式に出馬表明した人物はいない。だが、石原氏が4選に含みを残し、東国原氏は出馬に興味を示している。他にも、別表のような顔ぶれがささやかれている。
ここに、昨年の参院選で171万票を獲得した「仕分けの女王」蓮舫氏が加われば、首都決戦がドリームマッチとなるのは間違いない。
政治評論家の有馬晴海氏と、政治ジャーナリストの角谷浩一氏の分析では、「蓮舫氏を民主党、石原氏を自民党が全面的支援する。東国原氏は少し劣る」という点で一致したが、勝者については評価が真っ二つ。
有馬氏は「勢いの差で蓮舫氏が勝つ」といい、こう続けた。
「蓮舫氏は24人が出馬した昨年の参院選で171万票、石原氏は14人が出馬した4年前の都知事選で281万票。民主党政権は徹底的に嫌われているが、蓮舫氏の個人的人気は高く、内閣支持率を下支えしている。都民には若くてハッキリした女性なので人気がある。石原氏は多選に飽きがきているうえ、新銀行東京や五輪招致の失敗などがある」
一方、角谷氏は「石原氏のほうが上だろう」といい、こう解説する。
「石原都政にもろ手を挙げる人はいないが、民主党アレルギーは強まっているうえ、蓮舫氏も賞味期限が切れ気味。参院選は『仕分け』という役割に対して票が入ったが、税金の無駄遣いは止められず、政府は消費税増税路線に傾いた。また、『蓮舫氏と東国原氏が争うなんて、どこの熱湯コマーシャルだ。都民をバカにするな』と怒るのではないか」
知名度では前出2人に匹敵する東国原氏だが、後塵を拝する理由は興味深い。
有馬氏は「都民は、インテリで毅然とした人物に投票する傾向にある。東国原氏は『とにかく東京に出たい』という思いが透けてみえるのがマイナス」と話し、角谷氏は「宮崎県知事を1期やっただけで、政治を分かったような顔をするのはどうか。宮崎を踏み台にしただけに、都民は『東京都も踏み台にする気か。ナメるな』という思いを持つ」と手厳しい。
蓮舫氏の7日の出馬検討発言について、永田町では「大炎上しそうな13日の民主党大会から目をそらすための話題作りでは」(自民党中堅議員)と冷ややかな声もある。
ともかく、都知事選が大注目となるのは間違いない。
【都知事選出馬がささやかれる顔ぶれ】
名前 経歴 有馬 角谷
石原慎太郎(78)東京都知事 ○ ◎
蓮舫(43) 行政刷新相 ◎ ○
東国原英夫(53)宮崎県知事 ▲ ▲
猪瀬直樹(64) 東京都副知事
中田宏(46) 前横浜市長
丸山和也(64) 参院議員
◎…本命、○…対抗、▲…大穴