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中国政府が関与か ルノー漏洩事件――“経済戦争”勃発

【新唐人日本2011年1月8日付ニュース】フランスの自動車メーカー、ルノーの情報漏洩事件はフランスに衝撃をもたらした。ルノーは、現在生産中の新型電気自動車(EV)に関する機密漏えいにより、会社は大きな危害をこうむったと表明。フランスのベッソン産業大臣は、事件を“経済戦争”と表現した。サルコジ大統領も、事件に中国当局が絡んでいるのかを調べるよう、情報部門に求めた。フランスの情報部門、およびルノーは、情報は最終的に、中国当局関係者の手に渡るとにらんでいる。

 
漏洩の深刻さ
 
フランスの自動車メーカー、ルノーは、工業スパイ活動は、“戦略的資産”に深刻な影響を与えると表明。地元メディアは、ルノーの上層幹部3人による、電気自動車の機密漏洩による戦略的損失は、ルノー社も唖然とするほどであると報道。
 
フランスの高級紙“フィガロ”の7日付けの報道によると、ルノーは6日、容疑のかかる幹部3人を停職にしたと発表。会社の中でも重要な地位にいる3人は、故意に自ら会社の戦略的資産、知的財産権と技術情報を漏らしたという。漏洩した情報について、詳細を語らないルノーだが、事件はきわめて深刻であり、おそらく3人を訴えると述べ、これらの商業機密が最終的には中国企業の手に落ちるだろうと疑っている。
 
報道によると、この工業スパイ事件は、ルノーと日産が共同開発した、新型の電気自動車の技術に関する資料が外部にもれた。ルノーと日産がこの新型電気自動車のために投じた額は数十億ユーロ。今回もれた工業機密は、これに使われるエンジンと電池に関連する技術である。
 
ルノーとその提携メーカー、日産は現在、巨額を投じて、新たな電気自動車シリーズを研究生産中。今年の後半には、これらの車種を市場に投入する予定だ。
 
経済戦争勃発 仏大統領が調査を命令
フランス紙“ル・モンド”は、フランスのベッソン産業大臣の発言を報道。大臣は、”経済戦争”という言葉は時に言いすぎだが、今回の事件はまさにぴったりだと述べた。“フランスは経済戦争の標的になる恐れがある”とも警告している。
 
あるBBCの経済記者は、自動車工業はフランス経済において重要な地位にあるため、フランス政府も特にルノー漏洩事件に関心を払っていると指摘。自動車工業はフランスに大量の雇用をもたらしているからだ。その他の安価な労働力を使える自動車メーカーと比べると、欧米メーカーの強みは進んだ技術にある。これこそ、フランス工業大臣が事件を“経済戦争”と読んだゆえんだとつづっている。
 
目下、フランス総統府は、国内情報センター(DCRI)に対し、中国企業が関わっていないかを中心に調査するよう命じた。
 
フランス政府はルノーの株15%を保有している。
 
疑いのまなざしは中国政府に
 
BBCの報道によると、与党・民衆運動連合(UMP)のカラヨン議員は、“疑いのまなざしは、中国(共産党)に向けられている”と発言。議員は、経済スパイに関して、数件の特別報告書を作成したことがある。
 
フランス産業省のある関係者は、匿名でAFP通信の取材に応じ、フランス人の税金で開発されたオリジナル技術が中国の手に落ちるなど、受け入れがたいことだと述べた。
 
ルノーは、これらの言い分に対し、今までのところ沈黙を守っている。
 
ルノーは、次のような声明を出した。“この数ヶ月にわたる調査で浮かび上がった大量の証拠が図らずも一致した。これらの証拠によると、ルノーの幹部3人は不適切な行為に携わり、ルノーのモラルに反し、故意に任意で本社の資産に損害を与えた”。“我々は現在、司法の選択肢を検討中だ。法律行動は避けられないだろうが、現段階ではそれ以上は語らない”
 
“フィガロ”紙は報道の中で、中国共産党も今、電気自動車の開発に国を挙げて取り組んでいると指摘。国有自動車メーカー16社が10年以内に、150億ドル(約1兆2,000億円)を投じて、エコカーを開発する予定だ。
 
中国メディアの報道によると、目下、中国の大都市では都市の大気汚染が深刻だが、そのうち7割が自動車の排気によるものだ。よって、電気自動車とハイブリッドカーは、中国でこれから飛ぶように売れるだろう。2020年には、エコカー100万台が中国の生産ラインに投じられると見られる。
 
過去にもあった漏洩
 
今回のルノー情報漏洩事件は、仏自動車業界にとって、初めての漏洩ではない。
 
2005年、フランス警察は、黄莉莉という名の中国人女子留学生を逮捕。実習中だったフランスの自動車部品メーカー、ヴァレオ (Valeo)で、不法に会社の機密文書をダウンロードした疑いで訴えた。当時この“学生スパイ”事件は、欧州で大きな物議をかもした。黄莉莉は会社の機密文書を取得した罪で有罪になったものの、スパイ罪は適用されなかった。
 
黄莉莉のスパイ事件の後、“ル・モンド”は、中国政府は欧州に経済スパイ網を築いたと報道。ベルギー・ルーバンにある“中国学生・学者協会”という名前だけの団体が隠れみのになっているという。
 
2005年フランス政府は、工業スパイを防ぐための経済情報部門を設立。中国からの工業スパイを防ぐのが主な狙いの一つだ。
 
中国共産党は1980年代以来、積極的に各種商業スパイ活動を行い始めた。フランスに留学、または実習中の学生のうち、中国政府派遣の工業スパイが増えているという。
 
フランスの与党・民衆運動連合のある議員は、ロイター通信の取材の中で、再発防止のために、さらに厳格な法律を定めるべきだと訴えた。同時に、目下経済発展中の中国がハイテク技術への執念のために起こる経済戦争にも触れた。
http://ntdtv.com/xtr/b5/2011/01/08/a478248.html#photo
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