【ゲームコラム】プレイステーション3(以下、PS3)用ゲームソフト『白騎士物語 ~光と闇の覚醒~』は非常に練られた安心して楽しむ事ができるゲームシステムであり、プレイしている最中、常に心地よさを感じる秀逸なるゲーム性を持つロールプレイングゲームである。

真新しさはないが、ゲームにおいて必ずしも新しい試み(新しい要素)は必要ではない。過去にも存在したゲームシステムをアップグレードさせるかたちで進化させれば、新しくて奇抜な事をしなくてもゲームプレイヤーが知らず知らずのうちに快感を覚える事を、開発会社は知っているのだろう。「より自然に、より快適に、より楽しく」をプレイヤーの身になって叶えているゲーム、それが『白騎士物語 ~光と闇の覚醒~』といえよう。

建物や隣のフィールドに移動してもローディングの待機時間がないシームレスな点、パーティー全員が戦っていると実感できる緊張感あるバトルシステム、武器と攻撃方法と攻撃部位によって相手に与えるダメージが変化する戦略性、自然豊かでダイナミックな風景を楽しめるフィールド、オンライン接続による他のプレイヤーとの交流や冒険など、どれをとってもストレスを感じさせない内容となっている。

だが、ストーリー部分に関してはこれ以上ないウンコちゃんである。「プレイヤーにツッコミを入れてほしいのか?」と思ってしまうほどウンコちゃんなストーリー展開であり、軸(じく)にある世界設定は素晴らしいものの、ストーリーがウンコちゃんなので『白騎士物語 ~光と闇の覚醒~』の世界にプレイヤーが入り込む邪魔をしているのは確実である。

しつこく言うが『白騎士物語 ~光と闇の覚醒~』のストーリーのウンコ度には凄まじいものがある。メチャクチャ美味しいラーメンなのに虫が入っててゲンナリしたときのようなガッカリ感。ハンバーガーセットを持ち帰りしたのに袋にポテトが入っていなかったときのガッカリ感。ストーリーのひどさは、それらのガッカリ感に非常に似ている。

特に筆頭してひどいウンコ展開が、「追いついては逃げられる」の連続展開。主人公たちは悪人にさらわれた姫を助けるべく旅に出て追いかけていくのだが、姫に追いついたと思ったら悪人が姫を連れて逃げる。また追いついたと思ったら悪人が姫を連れて逃げる。今度こそは追いついたと思ったら悪人が姫を連れて逃げる。また追いついて「また逃げるんだろ」と思っていたらやっぱり悪人が姫を連れて逃げる。最後には悪人と姫に向かって「早く逃げてー!」と叫んでしまったほどである。

もうアホかと。バカかと。強大なパワーや強敵が邪魔をして逃げるのではなく、ボスたちを倒して悪人たちが手薄になっているにもかかわらず、逃げられるんだから、ひどいウンコ度である。ちょっと気合入れれば目の前に姫がいるんだし、ボスも倒しているんだし悪人から姫を取り返すことぐらいできるシチュエーションが3回も4回もあるのである。でも「姫!」とか叫ぶだけで主人公たちは姫を助けようとしない。主人公も仲間もほぼ直立不動。お前はマリオかと。何度、姫に逃げられれば気が済むんだと。主人公の「今度こそ助ける!」とかいうセリフも最初はジーンときたが、4回目にもなると笑いしかこみ上げてこない。あっ、これはギャグなのか? それには気がつかなかった。

それと、仲間が裏切りすぎる。こんな裏切り者が多いパーティーでよく旅なんて続けられると思う。純粋なのかバカなのか、主人公は仲間をまったく疑う余地ナシ! いつ殺されてもおかしくない(いや、殺されかけるんだけどね)。さらに不自然だったのは、空飛ぶ軍艦で移動している悪人たちに、徒歩で移動している主人公たちが追いつく点である。しかもけっこう余裕をこいて頻繁にキャンプして宿泊しながら移動。あまりに都合が良すぎるので、ストーリー設定に違和感を感じる。

結論! 超美味しいスープ、超美味しい具、だけど超のびきった麺のラーメン。それが『白騎士物語 ~光と闇の覚醒~』である。パーフェクトだらけの中に、ひとつだけウンコ要素があるゲームといえよう。とはいえ、ストーリーはうんこちゃんだがゲームをしていて一部のダンジョン以外は苦痛に感じなかった。ストーリーで失笑するだけで、他の部分は素晴らしいゲームである。定価より3割ほど安くなったら買ってもいいゲームだ。

Writer: IKA-X.

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