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日米外相会談:「普天間」以外の協議優先 同盟深化、2プラス2で

 前原誠司外相は7日未明(米国時間6日午後)、米国務省でクリントン国務長官と会談し、日米両国の新たな「共通戦略目標」の策定を目指すことや外交・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を数カ月以内に開催することで合意した。日米協議の中心から米軍普天間飛行場の移設問題をいったん外し、今春の菅直人首相訪米に向け、共通戦略目標の策定を協議の中心にすえ同盟深化を図る狙いがある。

 昨年5月の日米共同声明では普天間の移設先として沖縄県名護市辺野古に建設する代替施設の位置と配置、工法について「検証および確認を次回の2プラス2までに完了させる」と明記した。移設に向けた進展が2プラス2開催の事実上の条件となり、普天間問題がこう着する中、2プラス2開催が見込めない状態だった。

 しかし、安全保障▽経済▽文化・人材交流の3本柱で同盟深化の共同声明を取りまとめる予定の首相訪米が迫っており、「日米関係のど真ん中に普天間問題がくることはお互いに得策ではない」(前原外相)との認識が両政府に広がった。

 このため外相会談では、共通戦略目標の策定に加え、周辺事態、日本有事における日米協力を強化させるための協議の加速化などを確認、普天間以外の安保面での同盟深化協議を2プラス2で進める方針を明確にした。外務省幹部は「共同声明には『決める』と書いてあるが、政治判断で『決めない』とすることは十分あり得る」と解説する。

 共通戦略目標の策定は安保環境の変化への対応が目的だ。

 ただ、普天間問題を前進させる環境作りにつなげたいとの思いもにじむ。

 2プラス2開催について防衛省幹部は「普天間移設の詳細を固めることが条件なら当分開けない。沖縄のことを考えたら、日米で汗をかいている姿勢を見せることも大事だ」と語った。【西田進一郎、ワシントン古本陽荘】

毎日新聞 2011年1月8日 東京朝刊

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