2011年1月10日0時51分
【トゥーソン(米アリゾナ州)=田中光】米西部アリゾナ州トゥーソンで8日午前10時過ぎ(日本時間9日午前2時過ぎ)、市内のスーパーの敷地で開かれていた同州選出の女性連邦下院議員ガブリエル・ギフォーズ氏(40)=民主党=の政治集会で銃乱射事件があり、参加者ら6人が死亡、14人が負傷した。ギフォーズ議員は頭部を撃たれて重体。容疑者の男は、その場で身柄を取り押さえられた。
逮捕されたのはジャレッド・ロフナー容疑者(22)。捜査当局によると、ギフォーズ議員に背後から接近して至近距離から発砲、その後約20発乱射した。米連邦捜査局(FBI)は、議員の暗殺を狙ったとみて捜査している。6人の犠牲者の中には、集会に居合わせた連邦裁判官や9歳の少女が含まれている。銃弾は議員の頭部を貫通したが、病院側は容体について「楽観している」としている。
ロフナー容疑者は調べに対して黙秘し、動機などは分かっていない。捜査当局は、同容疑者は精神的な問題を抱えていたとみている。また、容疑者を犯行現場に連れてきた40〜50歳代の男の行方を追っている。
ギフォーズ議員は2006年に初当選。昨年11月の中間選挙で3選を果たした。夫は米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士。民主党の中でも穏健派として知られる。乱射事件が相次ぐ米国でも政治家を狙った事件は異例で、米国社会は衝撃を受けている。オバマ大統領は、「このような無神経でひどい暴力行為は自由社会では許されない」との声明を出した。