2011年1月2日
パナソニックは31日、JR大阪駅に隣接する梅田・北ヤード再開発の目玉施設「ナレッジ・キャピタル」に、中国、インドなど国内外7カ所の生活研究所を統括する拠点を設置する方向で最終調整に入った。新興国での生活実態に基づいた売れ筋商品づくりを強化する。1月1日付で組織を新設し、2013年春の街開きに合わせて移転する見通しだ。(永島学)
国内を代表する大企業のグローバル戦略拠点が入ることで北ヤード再開発のテナント誘致にも弾みがつきそうだ。
新設する拠点(研究ハブ)は「グローバルコンシューマリサーチセンター」。これまで各国の研究所を統括する組織はなかったが、新興国の経済成長で購買力をつけている新たな中間層(ボリュームゾーン)向けの商品企画力を高めるため、情報共有や幅広い分析が不可欠と判断した。
インド、中国、タイ、ベトナム、ドイツと3月までに新設するブラジルの海外6研究所に加え、「くらし研究所」(滋賀県)を統括する。顧客ニーズを集約し、世界規模で好まれるデザインの研究や一目でパナソニック製と分かるブランド戦略にも取り組む。
新組織は当面、大阪市内の同社施設に仮住まいする。「具体的な役割は11年度から本格的に検討する」(パナソニック首脳)という。関西に住む海外からの留学生に研究を委託し、一時帰国の際に現地の家庭を訪問調査してもらうなど、「開かれた研究拠点」としての機能も視野に入れているという。
すでにインドでは、国民性に合わせて歌や踊りを大音量で楽しめる高出力スピーカー搭載テレビを投入。煮沸した水道水を冷やして飲む習慣のあるインドネシアではペットボトルを十数本保管できる冷蔵庫を発売し、どちらも高い人気だ。大坪文雄社長は10年10月の会見で「生活研究をベースに機能を割り切った商品を出せば、いくらでも展開の余地がある」と話していた。