4月に全面改装するJR大阪駅(大阪市北区)が、環境に配慮した「エコステーション」に生まれ変わる。雨や廃水をトイレなど雑用水の約9割に再利用し、太陽光パネルで駅の消費電力の約25%をまかなう。全国のJR駅で最大の雨廃水利用で、全国トップレベルの環境対応駅となる。JR西日本は今後設置する新駅にも、エコステーションの考えを反映させる方針だ。
大阪駅を覆うドーム屋根(東西約180メートル、南北約100メートル)に降った雨水や、大阪駅北側に建設中のビル「ノースゲートビルディング」(地下3階、地上28階建て)に入居する飲食店などから出る廃水を再利用する。地下に設けた延べ約1万トンの貯水槽でろ過し、トイレ用水で約13万回分に相当する777トンを毎日作り出す。駅と新ビルのトイレ用水の約9割をまかなえるほか、新ビル低層階屋上(14階)で野菜や果物を栽培する「天空の農園」の散水などに使う。
天空の農園は市民に公募で利用を呼びかけるほか、取れた野菜や果物の一部を駅ビルの飲食店で用いる予定。
また、駅ホームの屋根の一部(約800平方メートル)に太陽光発電パネルを設置し、年間9万キロワット時の電力を発電する。エスカレーターなど駅の使用電力に用いる予定だ。小型の風力発電設備も天空の農園に設け、エコステーションをPRする。
駅舎の環境対応を巡っては、阪急電鉄が昨年3月に摂津市駅(大阪府摂津市)を開業した際、太陽光発電導入などで二酸化炭素(CO2)排出ゼロを打ち出した。JR西が旗艦駅で展開することで、この流れは加速しそうだ。【新宮達】
毎日新聞 2011年1月3日 9時20分(最終更新 1月3日 9時55分)