2010年12月25日17時2分
池に転落したワゴン車内を調べる消防隊員=25日午前1時36分、福岡県太宰府市、長沢幹城撮影
事故があった県道交差点。ワゴン車は篠振池(左下)に転落した=25日午前10時10分、福岡県太宰府市、朝日新聞社ヘリから、山本壮一郎撮影
楽しいはずのクリスマスイブが暗転した。福岡県太宰府市で24日深夜に起きた車2台の衝突事故。「助けて」「子どもがいる」。叫び声が響くなか、真冬の冷たい池に転落した人たちを周辺住民や消防、警察が懸命に救出したが、25日朝までに6人が亡くなった。
ワゴン車に乗っていたのは、八女農業高校(福岡県八女市)の生徒3人と、黒木中学校(同市)の卒業生らだった。
八女農高には25日朝、生徒が事故に巻き込まれたとの連絡が警察から寄せられ、待鳥順二教頭(55)ら関係者が続々と駆けつけた。24日は終業式だったため、待鳥教頭は「凄惨(せいさん)な事故で非常に残念。冬休み中は行動に注意するように呼びかけていたのに」。
警察で死亡が確認された同高生徒は、井手綾美さんと石原瞳さん、末吉泰子さんの3人。井手さんと同居している祖父の見明さん(74)によると、井手さんは病院に就職が決まっていたという。「家族のなかでも活発で面倒見がよく、よく友達が遊びに来る子だった」と話した。
久留米市の石原さんの自宅は窓にカーテンが閉められていた。隣に住む祖母、鶴長サユミさん(74)は「くやしい、くやしい。できることなら代わってやりたい」と家の壁をたたき、むせび泣いた。石原さんは鶴長さんに困ったことがあればいつも駆けつけてくれたという。
誕生日や敬老の日にネックレスなどをもらっていた。今年のクリスマスは石原さんに渡そうと、靴下やショール、手作りのリースなどを用意していた。「今日渡そうと思って用意していた。本当に心の優しい子だった」と語った。
近くに住む女性(71)は、「今どきのおしゃれな女の子。ときどき会うと、感じよくあいさつをしてくれる。よく友人とスクーターで連れ立って出掛けるのを見ていた。まさかあんな大きな事故に巻き込まれるなんて」。