2例目死刑求刑:検察「冷酷非情」と指弾 被告表情変えず

2010年11月10日 11時14分 更新:11月10日 11時44分

 法壇に並ぶ市民6人が重い判断を迫られることになった。強盗殺人罪などに問われた住所不定の無職、池田容之(ひろゆき)被告(32)の裁判員裁判は10日午前、横浜地裁(朝山芳史裁判長)で、検察側が論告の冒頭で裁判員裁判2例目の死刑を求刑した。「執拗(しつよう)」「冷酷非情」。被告を指弾する厳しい言葉が続く。張りつめた空気の法廷で、裁判員らは検察官から渡された論告メモに目を落とし、時折、池田被告に目をやりながら検察官の言葉に聴き入った。【中島和哉、山田麻未】

 「死刑に処すべき理由を述べます」。午前10時過ぎ、地裁で最も大きい101号法廷。通常は最後に述べる求刑を、冒頭で明らかにする異例の論告を、検察官が読み上げ始めた。「命をもって償わせるのが正義にかなう事案」「遺族が思いを託すことができるのは裁判官、裁判員しかいないのです」。読み上げを聞く、男女各3人の裁判員は硬い表情のまま。上下黒のジャージー姿の池田被告は、それでも表情や姿勢を変えず、被告人席から前方を見つめた。

 検察官は語りかけるような言葉を続け、極刑を求める遺族感情は約20分間も詳述した。「これが死刑にならないのなら、わが国では今後、死刑はあり得ない」。1時間を超す論告を、こう結んだ。

 池田被告は公判で、死刑を意識した言葉を再三口にした。「僕は死刑を覚悟したうえで話をするつもりです」「少しでも遺族の救いになるのであれば、死んであげたい」。当初、表情を変えることは少なかったが、審理が進むにつれ感情をあらわにする場面も増えた。

 弁護人が母親の謝罪文を代読した5日の公判。顔を紅潮させ、手にしたタオルで何度も涙をぬぐった。被害者参加人として出廷した遺族が相次ぎ極刑を求めたことについて、8日の公判で「初めて背筋が凍るという体験をしました。それだけ重い罪を犯したのだと感じた」と感想を語り、「本当にすみませんでした」と涙声で謝罪を口にした。

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