かつて栄し古の都。
その都の王が住まいし塔の最上階で二人の男性が互いに睨み合っていた。
その片割れは圧倒的な存在感を持ち、全てを見下すかのような傲慢さを持っている。
彼はこの都の王だった。
「・・・貴様はあの時、ミューレアスと共にいた人間か?」
愚物をみるような眼差しで王はもう一人の人物へ問う。
問われた青年は何も語らずただ王を睨む。
「・・・そういうことか・・・面白い!」
王は、佇む青年を忌々しげに見てさらにその苛立ちをつのらせる。
「愚民風情が!余の前から消え去るがよい!」
叫ぶと共にその手に持った杖を掲げる。
王が掲げた杖からは邪悪な力が溢れ、青年に今にも襲い掛かろうとしている。
その恐ろしい様相を見て、青年は背中に携えし大剣を構える・・・!
~白騎士物語 只人の英雄~
1.始まりの始まり
透き通るような快晴の下、小さな村の入り口に十数人の人だかりができていた。
村の外側に一人の青年が、村側に人々が青年を囲むように集まっている。
「・・・にいちゃ・・・本当にいっちまうのか?」
人だかりの先頭に立つ少女が青年へ話しかける。
いまだ幼さを残すあどけない少女は、泣きそうな顔で声も震えていた。
「んだ・・・決めたことじゃけん。」
青年は答えにくそうに、だがしっかりとした口調で答える。
「このままじゃ、この村も隣の村みたいに廃れていくさ。」
「おらが都で働いて、がっぽり稼いでくるけん心配せんと。」
彼は少女の頭をなで、安心させるように優しく微笑む。
集団から一人の老人が青年へ歩み寄る。
「アヴァタ・・・すまんの・・・」
老人はこの村の村長であった。
そして青年-アヴァタ-がこの村を出て行くきっかけを作った人でもある。
「村長もそんな心配せんと!」
申し訳なさそうな老人へ青年は快活に笑う。
この村は小さいながらも特産を持ち、隣村との交易で村人全員が笑いながら
暮らせる程度には豊かであった。
しかし、隣村が10年ほど前に滅びてからは、交易も途絶え
日々の糧を得ることのみに専念せざるをえなかった。
幸いにもこの村の特産「超大型かぼちゃ」のおかげで
食うには困らなかったが、それだけだ。
閉鎖した村単体では、だんだんと廃れていくことを防げなかった。
このまま村が滅び行く様を良しとしなかった村長が思いついたのが、
アヴァタを都へ出稼ぎに出すことであった。
「おら、この村の特産さ絶対に広めて見せるけん!」
アヴァタの目的は2つ。
ひとつは出稼ぎによるお金の獲得。
もうひとつが「超大型かぼちゃ」の普及だ。
このかぼちゃは大の大人3人でやっと抱えられるようの代物だ。
きっとこのかぼちゃは都でも売れる!というのが村長の考えだった。
事実、この国は隣国との戦争が続き食糧難であったのでかぼちゃの
需要は高いものであった。
閉鎖した村の住民はこの世情を知るよしもなかったが。
知らないが故に村人達は村長の言うことを半分も信じていない。
そのため、少女や村人たちはアヴァタのことを心配そうに見つめているのだ。
本来なら、彼一人ではなく数人の男集で行くことが最善であったろう。
しかしこの村の男集はアヴァタ一人を除いて所帯を持っていた。
さらに「超大型かぼちゃ」の育成には多くの男手が必要であったのだ。
自由で若く融通の利くアヴァタに白羽の矢がたったのである。
「にいちゃ・・・絶対に帰ってきてね・・・!」
「おう!行ってくる!」
青年は村の未来と住人の期待を背負い都へと歩む。
少女は青年の背中が消えるまで彼を見守っていた。
「待ってろよバランドール!」
青年は使命感と不安、そして初めて向かう都へ大きな期待を持って山を駆ける。
・・・その行先に壮絶なる運命が待っていると知らずに・・・
あとがき
最上階クリア記念にやっちまったナリ
後悔はあるが反省はしない!
と、いうわけで稚拙な物語をお読みいただきありがとうございました。
この話はPS3ゲーム「白騎士物語」のプレイヤーの分身であるアバターを主人公としております。
ゲーム中アバターは果てしなく空気なので、この話ではアバターの設定は全て捏造です。
ぶっちゃけオリ主。
アヴァタ君の口調はなんちゃって方言なのでテキトーです。
基本的にはゲーム通りに進むのですが、アヴァタ君を交えてオリジナルな展開も見せたいと思います。
ゲームのままの部分はキングクリムゾン!するかも。
隔週ぐらいで更新していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします!
処女作ゆえに粗が目立つと思いますので、助言・苦言なんでもお待ちしております。