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2010年12月21日 (火)

沖縄拳法の伝系その2

 

 以前、 「沖縄拳法は本部御殿手のもの真似ですか」「沖縄拳法は国吉先生の技です」「中村道場総本部は潰れただろ」等々メッセージがありました。

 全部、事実と異なります。
 
 

 改めて、事実を確認したいと思います。

 真実を書かかれては困るんでしょうが、偽られても困るので、事実を書きます。

 

 沖縄拳法の命名者中村茂先生のご子息であり、先代の後を継いだ中村丈人総本部館長に一切の断りもない状況で、勝手に父親の名前とその流派名を利用することは、武術家である前に、人間として良いことだとは、正直、思えません。

 

 沖縄拳法の総本部、その他支部で一度も稽古したことのない人達が、沖縄拳法の中村先生の名を利用することは、とても常識のある人達のすることだとも思えません。

 以前も書いたのですが、本州では、こんな事は常識的なことなのでしょうか。

 沖縄では他人の父親の名前で人を集め、入会金や月謝を取って道場を経営している話は一度も聞いた事がありません。

 

 沖縄拳法に本部流、本部御殿手と同様の技法、「入る技法」を含め、互いに「入る技法」を修得したものどうしの組手の方法、「合気柔術に似た技法」、「ゼロ化や脱力させるための呼吸法」「八極門に似た五十四歩」が伝承されている理由は、ウィキペディア フリ-百科事典に書かれてあるように、先代中村茂先生が修行時代に上原清吉先生、本部朝基先生と交流があったことで理解できます。

  
 現総本部の中村館長は高齢であることと、個人的なご事情で2年くらい前から道場を閉めています。

 総本部道場に本州から定期的に稽古に行っているというメッセージもありましたが、開いていない道場に稽古に行く事は不可能です。
 
 
 「国吉真吉先生の空手が沖縄拳法である。」?
 「沖縄拳法は150年間同じ稽古をしている」?
 「中村茂先生の弟子の宮里先生だけが沖縄拳法のすべてを継承している」?
 
 全部あり得ない話です。

 もっとも、そう信じたい気持ちもわからないではないですが、ある種の妄信又は信仰のように感じます。
 
 
 泊手は那覇手系の中に含まれています。泊手は剛柔流に現存しています。
 沖縄空手道剛柔会明武館国吉道場や他の剛柔流道場が多く在ります。
 
 沖縄拳法は剛柔流とは全く違います。確かに泊手の型も伝承されていて、セイサン等の型も伝承されています。

 以前のブログで以下のように書きました。
 『「沖縄空手古武道の真髄」(外間哲弘著)の中で沖縄拳法は、明確に首里手系に分類されています。中村茂先生が中村貞一先生、中村幸吉氏、国吉真吉氏、屋部憲通氏、花城長茂先生、糸洲安恒先生に教えを受けていたことも記されています。』

 

 中村茂先生が教えを受けた数多くの先生の中に国吉氏がいたというのが事実です。

 これが、嘘でもデタラメでもなく、どの著書、百科事典にも書かれている真実です。
 
 
 

 その後の沖縄拳法の流れを事実のみ書きます。
   
 中村茂先生の弟子には、ご子息の中村丈人先生(沖縄拳法空手道連盟)、沖縄拳法琉誠館の金城先生、沖縄拳法空手道協会の喜納先生がいます。
 他にも小渡先生、比嘉先生、前原先生、宮里先生、喜瀬先生、親田先生がいます。
 ご子息の中村先生に認められた師範は喜納先生、畠中先生、上地先生、私を含めて四人です。
  
 

 おわかりいただけるでしょうか。
 中村茂先生の弟子、中村丈人先生の弟子は文献に名前が出ている人だけでも十人を超えます。その方々の門下生を合わせれば、きっと何十人、何百人、何千人と沖縄拳法を学んだ方々がいます。
  
 

 常識的に考えてみてください。
 
 こんなに大勢の弟子がいるんです。
 1人だけがすべてを継承しているなんてあり得ません。

 多くの型や技法のごく一部分をご子息だけが継承しているというのが、事実です。
 
 
 
 沖縄県内では沖縄拳法と剛柔流が違う事くらい誰でも知っています。
 どれだけ秘伝のように宣伝しても、県内の人は誰でも違う事知っています。
 
 道場を経営しても、そんな話で人は集まりません。

 「1人だけが、全てを継承している」
 その言葉の意味は、「ご子息の中村先生、琉誠館の金城先生、沖縄拳法空手道協会の喜納先生、その他の弟子達は沖縄拳法を受け継いでない」と同じです。
 
 琉誠館の金城先生は極真全日本大会で五位に入賞されてる方です。
 他の先生方にこれほど失礼な事はないです。

 再度、書きます。確かに、ご子息だけが継承している技法は存在します。

 他の沖縄拳法の道場には、古流五十四歩を含め、いくつかの型と技法が伝承されていないはずです。

 これらの型の中の技法と術理は、いわば奥伝です。中村道場の中核の技法です。
 
 
 

 百科事典には「中村茂は、国吉以外にも糸洲安恒、本部朝基、喜屋武朝徳らにも師事・交流しているので、伝系の正確な割り出しは困難ではある」と明記されてます。
 
 当たり前です。 沖縄拳法と命名したのが中村茂先生ご本人です。
 
 
 

 「沖縄拳法は150年間同じ稽古をしている」??
 

 そんな事は不可能です。 

 150年前、中村茂先生はこの世に生まれていません。

 中村茂先生が生まれる前には、沖縄拳法という名前さえ存在していません。

  

 

 再度、中村茂先生、国吉真吉先生について、ウィキペディア フリ-百科事典から引用します。

 『中村茂は、1891年(明治24年)年、父・中村幸吉、母・カメの長男として沖縄本島北部の名護間切(現・名護市)に生まれた。幼少の頃より祖父や親戚から武勇伝を聞いて育ち、武術に興味を持った。夭折した父やその弟・中村貞一から「手(ティー)」と琉球古武術の手ほどきを受けた後、15歳の時、沖縄県立第一中学校(現・首里高校)に入学して、そこで唐手を本格的に習い始めた。当時の一中の唐手師範は糸洲安恒、師範代は花城長茂だったので、中村は両者に師事したものと思われる。

 その後、中村は”久茂地の山原国吉(やんばるくにし)”こと、国吉真吉にも師事した。国吉真吉は、査氏国吉家の後裔で「武士国吉(クニシ)」ともあだ名される著名な武術家であった。那覇・久茂地村に住んでいたが60歳頃に名護に転居してきたので、中村は国吉に師事する事になった。国吉からはニーセーシ等の型を習った。中村はその後、さらに喜屋武朝徳や本部朝基らとも修業を重ねた。

 戦後、中村は、仲里常延(少林寺流)、島袋善良(少林流)らと共に保勇の招聘を受け、福岡県で開催された空手大会に参加した。1961年(昭和36年)、沖縄古武道協会(会長・比嘉清徳)の結成に、島袋龍夫、上原清吉、祖堅方範、兼島信助、島袋善良らと共に参画、同年開催された第一回古武道大会ではニーセーシの型を披露した。

 中村茂は沖縄の空手には本来流派ないという意味で「沖縄拳法」を名乗ったが、今日では「沖縄拳法」は中村茂の流派名としても認識されている。中村茂は、戦後沖縄ではじめて防具付組手試合を始めた一人であり、「ティージクンデーイチ(手拳第一)」を理念とする実戦空手家でもあった。中村は1969年(昭和44年)に死去した。』 

 
 
『 国吉 真吉(くによし しんきち、1848年 - 1926年)は、琉球王国時代から明治期にかけて活躍した沖縄県の武術家。

  国吉真吉について述べた戦前の文献はほとんど存在しないが、本部朝基が1936年(昭和11年)那覇で開催された座談会で、自分が師事した武術家の一人として松村宗棍、佐久間親雲上、松茂良興作、糸洲安恒ら大家とともに国吉真吉の名を挙げているので、当時としては相当著名な武術家であったようである。

  中村茂によれば、国吉はニーセーシ(一般には新垣派の型とされる)を伝授したとされるので、東恩納寛量以前の那覇手を習得していた可能性は考えられる。
 もっとも沖縄拳法で伝承されている他の型の大半は首里手・泊手の系統であり、実際には複数の師匠に師事していたと見るべきかもしれない。
(ただし中村茂は、国吉以外にも糸洲安恒、本部朝基、喜屋武朝徳らにも師事・交流しているので、伝系の正確な割り出しは困難ではある)』

    

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