フランスの自動車大手ルノーは、幹部3人が日産自動車と共同開発中の電気自動車(EV)に関連する機密を外部に漏えいしていた疑いが強まったとして、6日までに無期限の停職処分にした。フィガロ紙などフランス各紙が同日、一斉に報じた。
漏えいした情報には日産・ルノーグループが戦略事業と位置付け、約5000億円の投資を見込んでいるEVの電池やモーターに関する極秘の内容が含まれていたという。情報の流出先などは不明。
フィガロ紙は、スパイ工作の背後には競争相手の自動車会社などがいると推定。EVの技術分野で先頭を走る日産・ルノーグループの電池開発の進展状況を探っていたとの見方を示した。事実とすれば、グループの電気自動車事業に大きな影響を与える可能性がある。
報道によると停職処分となったのは、27人で構成する同社経営委員会に参加する最高幹部1人のほか、電気自動車開発などに関わる幹部2人の計3人。昨年8月ごろに漏えいの疑いの情報が同社職業倫理委員会にもたらされ、調査が進められていた。3人に対しては、さらに査問が実施される予定。
日産は昨年12月に日米でEV「リーフ」の販売を始めたほか、ルノーも今年から来年にかけてEV4車種を市場に投入する予定。ルノーのトップも務める日産のカルロス・ゴーン社長は「20年には世界市場の10%がEVになる」と予測している。
日産は「ルノー側のことであり当社はコメントする立場にない」(広報部)としている。(パリ共同)
毎日新聞 2011年1月6日 23時06分(最終更新 1月7日 0時34分)